<J1:清水2-1京都>◇第14節◇28日◇日本平

 静岡県勢2チームがリーグ再開初戦をともに白星で飾った。清水は2-1で京都に今季初の逆転勝ち。ホーム通算150勝とJ1通算800得点を達成した。後半3分に元清水のFWフェルナンジーニョ(27)に先制点を許すも、MF枝村匠馬(21)が値千金の同点弾。同38分にはオウンゴーールで勝ち越し、逃げ切った。清水は暫定11位、磐田は13位に浮上した。

 今季初の逆転劇の幕を開けたのは枝村だった。1点ビハインドの後半8分。ペナルティーエリア右角でボールを受けると、相手DFを切り返しで揺さぶる。「味方もいなかったので狙ってみた」。シュートはDFのまたを抜けてポスト左に当たり、そのままゴールへ吸いこまれた。この同点弾で勢いを取り戻すと同38分に勝ち越し、ホーム通算150勝とJ1通算800得点も達成。枝村は「何としても勝ちたかった。良かった」とほほ笑んだ。

 負けられない一戦だった。中断期間中にFWフェルナンジーニョが京都へ電撃移籍。元司令塔が務めていたトップ下に入るという重圧に打ち勝つべく、枝村は静かに燃えていた。得点力不足と言われる中、入浴中にはあこがれの元イタリア代表FWロベルト・バッジオのゴール集を見ては得点イメージをふくらませた。

 元司令塔の先制弾からわずか5分後、相手DFとの駆け引きから意地の同点弾を決め、自らの存在を示した。「運も良かった」と謙遜(けんそん)する枝村に、長谷川監督は「ずっと複雑な思いがあったと思う。フェルの活躍に負けられないという思いは強かったと思う」と賛辞を贈った。

 大事なリーグ再開初戦で、貴重な勝ち点3をもぎとった。全員が意地もみせた。「一丸となってやれているので逆転につながった」(DF山西)「全員の力。一体感が出てきた」(長谷川監督)。来週には中3日でナビスコ杯準々決勝鹿島戦、そこから中2日で札幌戦が控える。だが、同じ方向を向き出した清水には、強行日程も関係ない。聖地・日本平で刻んだのは節目の記録だけでなく、反攻への第1歩もしっかり刻み込んだ。【浜本卓也】