<J1:札幌0-0大分>◇第17節◇16日◇札幌厚別

 価値あるドローで前半戦を折り返した。コンサドーレ札幌は大分に0-0で引き分けたが、今季初の2試合連続無失点で勝ち点1を獲得、3試合続けて勝ち点を積み上げた。“聖地”の札幌厚別では、これで06年9月から14戦負けなし。この日もリーグ最小失点の相手に試合を優位にすすめたが、あと1点が遠かった。崩壊しかけたDFラインは改善され、チームに勢いが出始めた。

 6分と長いロスタイム、CKのチャンスに競技場が沸き返った。クライトンのFKはゆっくりとカーブを描き、箕輪がヘッドで合わせた。完ぺきなタイミングだったが、ボールは無情にもゴールをそれていった。箕輪は「もっと強さと粘りがないと…。練習しないと駄目ですね」と悔やんだ。あと一歩まで追い詰めながらも試合終了。それでも、ゴール裏からは戦前の不利な予想を覆したチームへ拍手と声援が飛び交った。

 2試合連続で無失点試合となった立役者は箕輪、西沢の両センターバックだ。この日、チーム1の4本のシュートを放った箕輪は積極的に攻撃参加。西沢はベテランらしい動きとコーチングでラインを統率した。開幕から15試合連続で失点を続けてきたが、2人がセンターバックに入った16節の千葉戦でチームのワースト記録を止め、この試合も守りきった。三浦監督は試合後「センターバックの強さが、この2試合で証明された」と2人をたたえた。

 6月上旬、ブラジルで視察を続けていた三上強化部長の元に三浦監督から1本の電話があった。「やはり、どうしてもDFが1枚足りない」。一時は中山をセンターバックへコンバートすることも視野に入れた。やりくりを繰り返した指揮官が珍しく訴えた。最優先としてきた箕輪獲得へ向け、一気に加速した。西沢、西嶋の復帰に加え、新戦力の箕輪の力で守備から巻き返しをかけるというプランだった。再建計画はここ2試合で実を結んだ。

 チーム最年長の西沢は「箕輪がヘディングで勝ちすぎて、自分の所にボールがいっぱい飛んでくる。弊害はそれくらいかな」と苦笑いした。一方で箕輪は「2戦連続の失点に満足しないことが、このチームにとって大切」と引き締めた。絶妙なバランスのセンターバックが勝利のリズムをつくり出せば、J1残留がはっきりと見えてくる。【上野耕太郎】