<J1:磐田5-0札幌>◇第28節◇5日◇ヤマハ

 コンサドーレ札幌のJ2降格に「逆王手」が掛かった。アウェー磐田戦で0-5と完敗。移籍問題に揺れたFWダビ(24)が3試合ぶりに復帰したが、不発に終わった。今季初の5連敗、今季初の5失点、クラブ史上ワースト記録を更新するJ112試合連続未勝利と不名誉な記録のオンパレード。19日の次節ホーム柏戦で引き分け以下の場合、14位千葉~17位大宮の成績次第で自動降格が決定する。07年の横浜FCと並ぶ、残り5試合でのJ史上最速降格の可能性が出てきた。

 いつもの献身的な姿はなかった。前半28分、MFクライトンが相手に囲まれ、体勢を崩しながら必死に前線にパスを送った。ボールに向かって走らなければいけないダビは、ピッチ中央で歩いていた。三浦監督から怒声を浴びた。後半16分には強引に右足シュートを放ち、枠外へ。左サイドでフリーだったアンデルソン、クライトンは、パスを出さなかったことに詰め寄った。ある選手は「知っているダビじゃなかった」と漏らした。

 カタールリーグの強豪アルサードへの移籍騒動後の初戦。みそぎの一戦にするはずが、不発に終わった。それ以上にチームにとって痛いのは、気持ちが札幌から離れたのか、集中力が欠如したようなプレーが目立ったことだ。ダビは「内容的には良くなかった。自分たちのサッカーができず、早い時間帯での失点が響いた」と嘆いたが、敗因の1つは自身の不調。チームメートからの信頼もこの一戦で確実に薄れていた。

 気のないプレーをするようになっては、ダビの今季限りでの退団は避けられそうにない。すでにJ1の複数クラブが興味を示し、水面下で接触している。クラブは来季残留に向け、今季年俸1000万円(推定)の3~5倍は用意する見込み。だが、視察したクラブの矢萩社長は「もちろん残ってはもらいたいが、(札幌が用意できる以上の)金額を積まれたら厳しい。1人の選手にお金を使ってはサッカーができない」と話す。高額オファーが届いた場合、クラブは残留断念もやむなしの判断に傾く可能性は高い。

 早ければ次節にもJ2降格が決定する。ダビは「最後まであきらめないでやる。こういう状況なので勝つことだけを考える」と声を振り絞った。降格、エースの移籍と札幌に迫ってくる現実は、あまりにも厳しい。【長島一浩】