<J1:東京3-2鹿島>◇第30節◇26日◇味スタ

 優勝へ見えない重圧がのしかかっていた。リーグ戦8戦ぶりの黒星の後、DF内田篤人(20)がポツリとこぼした。「昨日の名古屋と大分の結果?

 気にし過ぎたかな…。関係ないとは思うんだけど…」。自問自答するような姿は、2連覇への意識が働いた表れだった。

 優勝を争うライバルは25日の試合でつまずいた。鹿島が東京に勝てば、2位名古屋とは残り4試合で勝ち点4差。一般的に残り試合数と同じ勝ち点差が逆転可能な範囲といわれる。鹿島にとってこの1勝は、安全圏突入へ目前という重みを持っていた。

 だが歯車がかみ合わなかった。立ち上がりから果敢にプレスをかけてくる東京に防戦を強いられた。前半は自陣左サイド、後半は右サイドを狙われ、自慢の両翼の威力がそがれた。内田は「(東京FW)カボレが攻め残ったのが嫌だった」と後方へ意識を向けさせられた。MF本山も腰を痛めて前半で交代。クラブ関係者が「打撲ではなくひねったので心配」と不安を残す負傷だった。

 後半39分には途中出場のFW田代が公式戦では5月21日のACLナムディン戦以来の得点を決めた。プロ入り以来続いた「田代が決めれば必ず勝つ」の必勝神話も、26戦目でついえた。「勝たないと意味がない。勝ち点1差はないのと一緒」と表情は険しかった。

 鹿島は独走態勢に入る好機を逃し、首位から勝ち点3差に5チームがひしめく混戦を、自ら招いてしまった。【広重竜太郎】