<J1・J2入れ替え戦:(3)磐田2-1仙台(2)>◇第2戦◇13日◇ヤマハ※カッコ内の数字は2戦合計得点

 J1の壁は高く、厚かった。J2仙台が1-2でJ1磐田に力負け。1分け1敗に終わり、6季ぶりのJ1昇格は果たせなかった。前半41分、後半25分と磐田MF松浦に決められ絶望的な2失点。後半ロスタイムに、MF梁勇基(26)が直接FKを決め一矢報いたが、遅すぎた。勝利にあと1歩足りない、今季を象徴するゲーム。経験値のなさを露呈したチームは来季、再スタートを図る。

 待っていたのは地獄だった。「結果次第で天国か地獄」。そう意気込んでいたイレブンが、一斉にピッチに倒れ込んだ。磐田サポーターの歓喜の声、昇格を信じて駆けつけた仙台サポーターの悲しいエールが、ショックで動けない選手の体に注いだ。昇格の望みを持って挑んだ舞台で突きつけられたのは、来季も「6年連続J2」という悲しい結果だった。

 主導権を握った時間もあった。前半24分、MF梁が左から絶妙なクロス。だがゴール前、7メートルからフリーで打ったFWナジソンのシュートは、バーの上に消えた。これで、支配していた攻勢ムードが消沈。シーズンを通して指揮官が口にしてきた「アウェーでは、やってはいけない先制点」を与えてしまった。

 後半25分に磐田MF松浦に2点目を献上。それでも2点を奪えば昇格切符をゲットできる。1点差に追いつけば磐田の混乱は目に見える。残り少ない時間で、攻撃を仕掛ければ…。だがベンチが動かない。8分後の33分にやっと、手倉森監督はFW中原を投入。交代に時間がかかったことに、指揮官は「まだ時間があった。中盤(の形)を変えてみてどうなるか判断していた」と歯切れが悪かった。

 ゴールを目指し、ガムシャラに走るベガルタ戦士の意欲は伝わる。だが点を奪うすべが分からない。後方での無用なパス回し、磐田DF陣の包囲網にかかるばかりの中央突破。気持ちだけが空回りした。「この2戦で見せた厳しさを開幕戦からやっていたら…」と悔やむFW中島。試合運び、戦術眼、フィジカル、追い込まれた時の精神力…。修羅場の経験値も磐田の方が当然、一枚上手だった。

 主将の梁が言う。「すべてアップしないとダメ。点を取るのが遅すぎた。『たられば』を言っても仕方ない…」。今季リーグ戦のドローは16試合も重ねた。キャプテンの言葉は、勝ちきれないチームの体質を突いていた。最後まで「あと1点」に泣いた08年。ただ、未熟さを露呈した試合の中にも得るものは多かったはず。今後それを生かさなければ、いつまでも「J2の強豪」に甘んじてしまう。【山崎安昭】