J2仙台は17日、手倉森誠監督(41)の来季続投を発表した。クラブオフィスで会見を開いた白幡洋一社長(64)は、続投の決め手として「現場の一体感」を強調。この日から始まった来季の契約交渉で、主力の引き留め役としても期待を寄せた。一方で現体制の続投に、懐疑的な意見があったことも明かした。批判を打ち消す最高の結果=J1昇格実現へ、クラブが一丸となることを約束した。

 この日午後、クラブハウスで手倉森監督に続投要請した白幡社長は、3位に滑り込んだ手腕とともに、選手の人心掌握術を高く評価した。同社長は会見で、名前こそ明言しなかったがMF梁、関口らJ1の舞台を夢見る「生え抜き」の流出阻止を期待した。同社長は「大事な人材に『一緒に戦おう』と声をかけていると思う」と引き留め役としても指揮官に期待を寄せた。

 ようやく手倉森体制の継続が決まった。この日、FW田中らが来季契約を結び、遅れていた契約交渉がスタート。決断が遅れ、戦力補強に影響はあるとする白幡社長も「フロントとして、できる限りの支援をする」と、バックアップを約束した。

 同社長は「不退転の覚悟でやってくれ」と、指揮官にゲキを飛ばした。手倉森監督は、今季を含めて2年プラス1年オプションの複数年契約だったが「今後、話し合いで内容を変更することもゼロではない」と同社長。J1昇格を至上命令とし、指揮官の退路を断った形だ。一方で「はしごを外すことはしない。金銭的なものは私ら(フロント)が努力する」と語気を強めた。

 この日まで、クラブオフィスには電子メール、手紙などでサポーターから、監督問題への意見が多数あったという。大半は続投支持だが、白幡社長は「批判的な意見もあった。スポンサーも、昇格した後の安定した戦いを期待しているのでアドバイスを聞いた」と明かした。同社長はGM制にも関心を示したが、採用の可否は未定だ。フロント、現場が一体になったとは断言できない状況の下、手倉森体制の2年目が始まる。【山崎安昭】