エース残留!

 来季J1広島の日本代表FW佐藤寿人(26)が18日、広島市内の球団事務所で2回目の契約更改交渉を行い、600万円増の年俸4800万円で合意に達した。2年契約。スペイン1部マジョルカの今冬の補強候補にもリストアップされていたが「森崎兄弟とともに、ここ広島でタイトルを増やしたい」と力強く宣言。海外移籍を封印した紫のエースが、気持ちを新たに天皇杯に臨む。(金額は推定)

 広島への恩返しはこれからだ。天皇杯準々決勝の柏戦(20日、岡山)へ向けてこの日、吉田サッカー公園での練習を終えた佐藤寿は、納車されたばかりのポルシェ・カイエンで球団事務所に直行。2回目の契約更改交渉は約20分で終了した。「合意しました。広島に来たからブルー(日本代表)のユニホームに袖を通すことができた」とスピード交渉を振り返った。

 海外移籍の道もあった。スペイン1部マジョルカが今冬の補強候補として、日本選手屈指の得点嗅覚(きゅうかく)を持つ佐藤寿をリストアップしていた。契約が切れて移籍金がゼロになる1月の獲得を目指すマジョルカに対し、「海外に行くのなら(移籍金を払う価値のある)助っ人として行きたい。今は広島でタイトルを増やしたい」と言い切った。今季リーグ戦出場40試合28得点のJ2得点王は、イタリア以外の海外移籍を封印した。

 選手会長と日本代表の二足のわらじを履き、過密日程を駆け抜けた。ペトロビッチ監督は「ヒサトは強い気持ちを持って臨んでいた。主将として彼がチームをけん引したことは間違いない。積極的にコミュニケーションを取り、若手選手の成長も促した」と言う。クラブへの高い貢献度が評価された。

 視線は既に09年元日に向いている。リーグ戦は圧倒的な強さで終了。「森崎兄弟とともにクラブの歴史を築きたい」(佐藤寿)。合意に達した紫のエースが、まずは歴史ある天皇杯のタイトル獲得を狙う。【佐藤貴洋】