<練習試合:札幌2-2神戸>◇7日◇グアム

 【グアム=永野高輔】コンサドーレ札幌は神戸と練習試合を行い、FWキリノ(24)が先制ゴールをアシストした。1本目の8分に左サイドから入れた絶妙なクロスが、MF砂川誠(31)の先制弾につながった。2日の大宮戦は前線での献身的守備で勝利に貢献したが、この日は攻撃面でチャンスを演出するなど、着実にチームにフィットし始めた。試合は2-2で引き分け。石崎札幌はグアムキャンプ中のJ1クラブとの練習試合を1勝1分けと、上々の仕上がりを見せている。

 キリノの突破からゴールが生まれた。1本目8分、左サイドに開いてMF岡本の縦パスを受けると、そのまま縦へと突っ走った。元日本代表DF宮本を一瞬のスピードで振り切る。ゴール前に入れたグラウンダーのクロスは、ニアポストに走り込んだMF砂川の右足を経由し、ゴール左に吸い込まれた。「試合前からやろうとしていた形ができた」とキリノ。得点にからんだエースの表情には充実感があった。

 着実にチームに融合し始めている。2日の大宮戦では、裏方に回る機会が多かった。攻撃面で決定機はつくれなかったが、腐らず、前線のファーストDFとして精力的に走り回った。「1戦目は守備がうまくできた。今回は攻撃練習での取り組みが結果として出せたと思う」とキリノ。石崎監督も献身的プレーの連続に「キリノはいい。もう少し彼にいいボールが出るようになると、もっと生きてくる」と評価した。

 グアムキャンプは8日で打ち上げとなる。対外試合はまだ2戦目だが、キリノを筆頭に全選手に石崎イズムが浸透し始めている。敵ボールに積極的にプレスをかけ、高い位置からボールを奪うため、序盤は神戸に攻撃チャンスをほとんどつくらせなかった。シュート数は札幌15本対神戸7本。疲れの見えた終盤にリズムを崩したが、指揮官はそれも「相手に流れが傾いたとき、いかに自分にもってくるか」と、新たな課題が見つかったことを収穫とした。

 MFダニルソン、DF趙の2選手もフィジカル面で圧倒的な強さをみせつけた。石崎監督は「ダニルソンは大きなサイドチェンジも良かった。あとはソンファン(趙)と誰を組ませるか」と次のステップに頭を巡らす。戦力見極めから、コンビネーション強化へ。「石さん革命」は順調に進んでいる。