コンサドーレ札幌の今季主将に、MF上里一将(22)が就任することが21日、発表された。札幌の歴代主将では05年和波、07年芳賀の24歳を抜くクラブ史上最年少。宮古島出身の上里にとって、22日に地元沖縄・北谷で行われるJ1東京とのプレシーズンマッチが、主将として初の実戦となる。ボランチとしてMFダニルソン(22)とのコンビを高め、開幕スタメンを手に入れる。

 札幌の若さを象徴する斬新な石崎人事の発令だ。「1回J2に落ちたのだし、これからは若い選手がチームを支えていかないと。カズ(上里)は守備も良くなってきているしポジション的にも中心だしね」と石崎監督は説明した。22歳にして大役を担うことになった上里も「とにかく声をかけあってチームのムードを常に盛り上げていけるようにしたい」と覚悟を決めた。

 石崎イズムを体現するキャプテンが誕生した。「楽しみながら勝つ」という石崎監督のモットーが上里の持論とまったく同じ。昨季のスタメン出場は降格決定後の3戦のみと不完全燃焼に終わったが、今季の上里はグアムキャンプ中から笑顔が絶えない。「楽しみながらやれている。充実感がある」と手応えを見せている。

 プロ入り6年目を迎え、新たな発奮材料もある。今季は宮古高の後輩、FW上里琢文がJ1京都入り。「後輩と2人で宮古のサッカーを、日本中に見せたい」。札幌がJ1昇格となれば、2人しかいない宮古コンビの競演も実現されるというわけだ。

 22日に行われる地元沖縄での東京戦では、日本人選手1号となる開幕切符を狙う。この日の直前練習では、セットプレーの確認で中央と左右から6本FKを放ち、左上2回、右下、左下と4本成功。2本目のゴールでは石崎監督を「あれは誰にも取れん」と驚かせるほど猛アピールした。実戦でも精度の高い左足のシュートと展開力で、MFダニルソンとコンビを組む、ラストボランチ枠をたぐり寄せる覚悟だ。

 小3以来の責任ある立場にも「自分たちの世代が引っ張って、下の年代にもいい影響を与えられるようになりたい」と気負いはない。20日には、J最年長プレーヤーの41歳FWカズ(横浜FC)が練習試合で09年初ゴールを決めた。今度は札幌の「最年少主将カズ」が故郷の友人の前で弾丸ミドルを決める番だ。【永野高輔】