J2C大阪のレビークルピ監督(55)が23日、J1復帰の切り札として東国大から新加入した韓国人GKキム・ジンヒョン(21)を3月8日の開幕鳥栖戦(長居)で先発起用する方針を明らかにした。外国人GKの開幕スタメンとなれば、同監督が前回指揮を執った97年のジルマール以来12年ぶり。課題のコミュニケーション不足の克服へMF香川らがひと肌脱ぐなどバックアップ態勢を敷き、最後尾から昨季崩壊した守備を再建する。

 C大阪昇格の鍵は、韓流GKが握る。レビークルピ監督が「現時点ではキムを第1GKと考えている」と明かした。J1復帰を逃した昨季は、得点数は81とJ2優勝した広島に次ぐ2位だったが、失点は60と15チームで7番目の多さ。守備の再建が最重要課題で、前日22日のプレシーズンマッチでアジア王者のG大阪を完封したキムにかかる期待は大きい。

 ただ、技術が優れていても、コミュニケーションが取れないと戦力にならない。そこを補うため、大阪市内の独身寮で一緒に生活する香川らが後押しする。グラウンド以外でも積極的に話し掛け、日本語や日本文化も教え、少しでも早く慣れるよう「24時間態勢」を敷く。それに応えようとキムも、韓国から持参した日本語の参考書を手に、同僚やスタッフに聞いて覚える毎日。「おすしは最高にうまいね。キムチは辛さは物足りないけど、もう慣れてきたよ」と笑う。

 キムは「軍隊の問題など難しいこともあるが、現役をセレッソでずっと送りたい」と言う。夢はもちろん韓国代表。ただ、母国には徴兵制度があり、男子は26歳までに約2年間入隊しなければならない。だが代表入りして好成績を残せば、兵役免除の可能性もあるという。C大阪での活躍が夢への近道だけに、大きなモチベーションになる。

 「もっと課題をみんなと話し合って改善したい」と現状を冷静に分析する。キムが開幕から正GKとして「仕事」を果たせば、4季ぶりJ1復帰も見えてくる。【奈島宏樹】