<練習試合:札幌2-1ニューウェーブ北九州>◇1日◇熊本市内

 石さんの教えが結実した。コンサドーレ札幌は、JFLのニューウェーブ北九州と開幕前最後の練習試合を行い2-1で勝利を挙げた。前半40分にはMF上里一将(22)の積極的なプレスからMFクライトン(31)がゴール。石崎信弘監督(50)がチーム始動時から言い続けてきた前からのプレスが得点につながった。開幕前の対外試合は7戦4勝1分け2敗と仕上がり上々。残り1週間で、この日欠場したMFダニルソン、FWキリノとの連係を高め、チームとして完成度を高める。

 石崎サッカーの根幹ともいえる「攻撃的守備」から得点が生まれた。前半40分、油断した相手DFの足元から上里がボールを奪い取るとゴール前に上がってきたMFクライトンへ縦パス。クライトンは冷静にGKをかわし右足でゴール左へシュートを決めた。石崎監督は「カズが長い距離を走り、そこにクライトンも走っていたからこそ生まれた。まあまあじゃな」と評価した。09年札幌が目指す“モデルケース”を最後のテストマッチで明確に形にした。

 核となるダニルソン、キリノが負傷欠場したが、連係に大きな支障はなかった。開始7分にはダニルソンの代役でボランチ出場した西から左サイドに開いた上里へ展開。上里からのサイドチェンジを右サイドハーフの宮沢が中央に戻してクライトンのシュートにつなぐ。ピッチの幅を生かした展開に石崎監督は「いい形がいくつかあった」と及第点を与えた。

 「前からの守備意識は徹底されてきたと思う」と上里は言う。22日の東京戦前半は、ボールへの寄せが甘くなり、相手ペースを崩すことができなかった。自陣に押し込まれる時間帯が増え、石崎監督から「びびっていた」と駄目だしを食らった。この日は、格下相手ながら序盤から積極的にボールを奪いに行き、終始、主導権を握り続けた。

 DF趙の加入で攻守に厚みも出た。前半30分の先制点は、クライトンの右CKに趙が中央で走り込み、マークの外れたファーサイドの西嶋が頭で決めた。セットプレーと流れから各1ゴール。失点もアンラッキーなファウルで取られたPKのみと大崩れはなかった。

 残り1週間で、開幕への総仕上げに入る。「ビルドアップがまだ弱い。攻守の切り替えも遅い。決定的な場面で決めないと」と石崎監督。前日、自らの目で偵察した開幕戦の相手仙台はJ1山形を4-2と圧倒した。難敵攻略には、欠場した2人の助っ人を加え、フィニッシュの精度をもうワンランク高めることが不可欠となる。【永野高輔】