Jリーグの鬼武健二チェアマン(69)が、各クラブの非公開練習が増えていることに苦言を呈した。17年目を迎えるJリーグの開幕が2日後に迫った5日、浦和や千葉などJ1の18クラブ中11クラブが練習を非公開で行った。この現状について鬼武チェアマンは都内のJリーグ事務局で「(各クラブに)サービス精神がない」と話し、各クラブの代表者が集まる10、11日の実行委員会で、非公開練習を極力避けるように指導する意向を示した。

 Jリーグ各クラブの非公開練習が増加している現状に鬼武チェアマンが不快感を示した。Jリーグは2月27日のJ監督会議で、各クラブに対して練習を含め、情報を積極的に公開するよう求めた。しかし、この日はJ1の半数以上のクラブが練習を公開しないなど、その要請に逆行するような動きが出ている。

 鬼武チェアマン

 サービス精神がない。監督会議では「非公開」という言葉こそ使わなかったけど、話の流れで認識しているはず。まったくやるなとは言わないけれど、10日の実行委員会では「非公開」という言葉を使ってガンと言うよ。

 各クラブは練習を公開しない理由として(1)戦術を知られたくない(2)セットプレーを見られたくない(3)選手が集中できる環境で練習させたい、などの理由を挙げている。しかし、このような理屈は通らないとJリーグ幹部は指摘する。

 佐々木一樹常務理事

 練習で集中できないなら、1万人以上集まる公式戦で集中できるはずがない。セットプレーのパターンが1つだけなら見せられないけど、3つも4つもあれば、見られても平気なはず。戦術も含めて、工夫が足りない。ファンに練習は来るな、試合だけ来てとは、あまりにも都合がいい話だ。ファンに見てもらうのは、プロとしての仕事だ。

 プレミアなど欧州の一部リーグでは練習を公開しないクラブがある。Jリーグ各クラブや日本代表でも、そんな強豪クラブをお手本にするかのように非公開練習の回数は年々増えている。野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場した日本代表はすべての練習を公開で行った。「練習でも、試合でも、まずは見てもらうのが一番。そのために努力していく」と話す鬼武チェアマンの思いは各クラブに通じるだろうか。【盧載鎭】