なでしこリーグ(日本女子サッカーリーグ)の浦和レッズレディースの新人DF熊谷紗希(18=札幌真駒内中出)が、リーグ制覇と12年ロンドン五輪出場を目指す。同リーグ1部は、11日に開幕。札幌出身で今季から浦和に新加入したU-20日本代表のDF熊谷は、昨年A代表を経験するなど若手注目株の1人。前身のさいたまレイナス以来、5季ぶりのリーグVと3年後の五輪出場へ闘志を燃やしている。

 熊谷がリーグ開幕へ気持ちを高ぶらせる。「チームのためベストを尽くし、まずはリーグ優勝です」。チームには3月上旬に合流。即戦力ルーキーとして周囲の期待も高く、練習試合にもすでに出場している。早期デビューのチャンスも十分だ。

 14歳で親元を離れ、常に高いレベルを追い求めてきた。札幌真駒内中卒業後、宮城の強豪、常盤木学園に進学。「道内での進学も選択肢だったけど、練習に参加して先輩の技術の高さに刺激を受けた」と振り返る。寮生活の3年間で自分を律することを覚えた。「中学まで洗濯は、投げ込むだけで親任せ。寮では干したりたたんだり初めてのことばかり。疲れていても自分で時間をつくらないといけなかった」。サッカーだけでなく自分との闘いに耐え、同校主将として史上初の全日本女子ユース3連覇を達成した。

 4月から筑波大に進学。埼玉の寮から茨城のキャンパスまで、片道1時間半かけ通学しながら夕方の浦和の練習に参加する。「大変かもしれないけど自分の可能性を広げたい」。選手としてレベルアップを図ると同時に、将来の夢である指導者への準備も並行していく構えだ。

 チームでのレギュラー奪取はもちろん、なでしこジャパンも視野に入れる。昨年5月、アジアカップでA代表に初選出されたが、北京五輪は補欠メンバーに甘んじた。女子初4強も「あのピッチに立っていたくて悔しかった」と言う。8月には来年開催されるU-20W杯のアジア予選が控える。「まずU-20で結果を出し3年後はA代表で戦いたい」。闘志あふれる18歳が、夢の五輪目指し駆け上がる。【永野高輔】