<J2:仙台5-0水戸>◇第18節◇30日◇笠松

 ベガルタが、クラブ史上最多得点差ゲームで第2クールを爆勝発進した。FWマルセロ・ソアレス(27)の2得点などで前半を3-0で折り返し、後半も2点を追加。5位水戸を5-0で下した。ソアレスはオフサイドが多い課題を修正し、チームも昨季の水戸戦で3-0から追いつかれた反省も生かした一戦。それぞれが成長を示し大勝した。

 FWソアレスが導火線に火をつけた。前半5分だ。MF梁の左FKに右足を合わせて先制すると、前半ロスタイムには独走から相手GKをかわして2点目をゲット。「オレの1点目で流れをつかんだんだ」と胸を張った。助っ人に触発されてFW平瀬も決め、今季初の2トップそろい踏み。後半も手を緩めずDF朴とMF関口が続く。クラブ史上最多タイの5得点。5点差勝ちはクラブ新記録だ。

 ソアレスが「頭」を使った。16日の徳島戦で得点したが、MF梁から「オフサイドを取られすぎ」と指摘され練習で飛び出しのタイミングを修正。前日29日の夕食後には手倉森監督から呼び出され、自分用に編集されたオフサイド対策のビデオを見た。ソアレスが「理解が増した」と納得すれば、FW平瀬も「考えて動かない野性的なタイプだけど、少しは勉強したんだね」と歓迎した。

 チームとしても、試合を完全に支配した。7連勝の後、格下に1分け1敗。手倉森監督は「問題は心理面にある。バランスを重視しろ」と言い続けた。攻守のポイントやカウンター、プレスをかける位置など共通理解を徹底的に求めた。

 苦い経験も糧にした。昨年6月28日のアウェー水戸戦。前半3-0から追いつかれ、4-3で辛勝した。反省を生かそうとハーフタイムに「去年の失態を忘れるな」と声を出し合い、集中力を切らさなかった。

 首位湘南との勝ち点差を4に縮める大勝にも「まだ第2クール初戦を勝っただけ」と指揮官は手綱を緩めない。仙台イレブンが、昨季と違う顔を見せている。【木下淳】