<J1:G大阪1-0浦和>◇第21節◇15日◇万博

 闇夜から、またしても抜け出せなかった。劇的な勝利に沸くアウェーの歓声を背に、浦和の選手たちは、ただうなだれてピッチを後にするしかなかった。「お荷物」と言われたJ創設期の93年以来、16年ぶり2度目のリーグ戦4試合連続完封負け。フォルカー・フィンケ監督(61)は「最も簡単なのは、何億か払って数十ゴール決めるFWを取ってくること」と、自嘲(じちょう)気味にジョークを飛ばして嘆いた。

 厳しい台所事情を乗り切る奇策も、特効薬にはならなかった。右太もも痛で戦列を離れていたMF山田直樹(19)を強行出場させたが、前半29分に左足を負傷して交代。腹直筋が回復しきれていないDF田中マルクス闘莉王(28)をベンチに置いて、後半17分から右MFで投入した。前日の最終調整と同じように、試合展開に応じて左MFの原口がエジミウソンと2トップを組むなど変化をつけても、ゴールを割れなかった。

 7月15日のナビスコ杯準々決勝清水戦第1戦以降、公式戦480分間ノーゴール。「ナショナルダービー」と呼ばれる対G大阪戦も昨季以降2分け4敗と勝てず、闘莉王は「監督に与えられたポジションで全力を尽くすしかない。1度勝てばコロッと変わる。(得点は)もう少し待ってくれ」と選手の思いを代弁した。ただ、次節は、中3日の19日柏戦(埼玉)。負傷した山田直に加え、DF坪井とMF鈴木の主力2人を警告累積で欠く。首位鹿島との勝ち点差は今季最大の13。王座奪回はおろか、上位戦線脱落の気配すら漂ってきた。【山下健二郎】