<天皇杯:札幌2-1鳥取>◇11日◇2回戦◇札幌厚別

 コンサドーレ札幌がガイナーレ鳥取(JFL)を2-1で下し、06年以来3年ぶりの初戦突破を果たした。前半7分に先制点を許すも、同28分にDF西嶋弘之(27)、後半42分にFWキリノ(24)がPKを決め逆転勝ちを収めた。天皇杯初出場となった高校生Jリーガー古田寛幸(18)が2得点に絡む活躍で勝利に貢献。浦和、C大阪などJクラブが初戦で姿を消す中、辛勝ながらも3回戦にコマを進めた。

 負けないことが大きかった。札幌が、Jクラブ食いを狙う鳥取をうっちゃり、3年ぶりの初戦突破を果たした。「延長戦に入るのは嫌だった。とにかく90分で勝てたことが良かった」。格下相手の辛勝に、2得点を演出した古田も安堵(あんど)の表情を見せた。

 難産の1勝だった。前半7分にDFの裏をつかれ失点。立ち上がりに不意打ちを食らった上に、試合開始とともに降り出した横殴りの雨。ぬれて滑りやすくなったピッチと、強烈な向かい風の中、得意のパスワークは封じられ、勢いに任せ押しかかってくる相手にてこずった。

 流れの中からは、ほとんど好機をつくれず前半28分、古田の右CKのこぼれ球を西嶋が押し込み、ようやく同点に追いついた。後半42分にはゴール前でボールを受けた古田が倒されPK。「何とか得点につながるプレーをしたかった」という18歳の必死さが、辛うじて決勝点につながった。

 石崎監督が「天皇杯は難しい。流れも鳥取ペースだった」と振り返るように、いつ勝利がこぼれ落ちても分からない状況の中、勝利を呼び込めたことが何より重要だった。10日の湘南、水戸に続き、この日は浦和、C大阪、東京V、徳島などJクラブ勢が一気に敗れた。難しい一発勝負のトーナメント初戦。鳥取のビデオは今大会初戦の流通経済大戦のみだった。研究されても研究する術の少ないハンディの中、足をすくわれなかったことが収穫だった。

 同点弾を決めたDF西嶋は「やりにくい試合だったが、次のステージには進めた。それだけです」と振り返った。3回戦の相手はJ1首位を走る清水。リーグ戦は6位と低迷しているが、石崎サッカーは少しずつ形にはなってきてきた。今の札幌の力を測るにはこれ以上ない相手になる。【永野高輔】