史上初のリーグ3連覇を目指す首位鹿島に「吉兆」が舞い降りた。最終戦浦和戦(5日、埼玉ス)へ向けて1日、茨城・鹿嶋市内で調整した。練習中にクラブハウスにコウモリが進入し、鹿島OBのジーコ氏のポスターの上の天井にぶら下がった。2年前には亀が迷い込んだ後、連勝して優勝をつかんだ「前例」もあり、中国で「幸運を呼ぶ」とされる珍客に、優勝への期待が高かった。一方、練習後は選手には厳重なかん口令が敷かれ、オリベイラ監督自ら見回るなど、チームは緊迫感に包まれた。

 「キー」。か細い鳴き声とともに、小さな「珍入者」がクラブハウス内に飛来すると、鹿島の象徴的存在ジーコ氏のポスターの上にちょこんと居座った。その正体はコウモリ。「幸運を運んでくるとか言われるよね。3連覇に向けて吉兆なんじゃないの」とクラブ職員は盛り上がった。

 中国では幸福の「福」と蝙蝠(こうもり)の「蝠」の字の発音が同じため、コウモリは福を呼ぶ動物とされる。DF内田は「コウモリ?

 オレは見たことないなあ」と苦笑いしていたが、勝負事は運も実力のうち。幸運を運ぶ動物なら大歓迎だ。

 「幸運の動物」には縁がある。07年5月下旬にグラウンド脇でスタッフが亀を発見し、大切に自宅に持ち帰った。その直後から1週間に2試合の過密日程の中、1分けを挟み公式戦5連勝。同年はオリベイラ監督体制でリーグ、天皇杯の2冠を達成した。当時は「亀の恩返し」とされたが、今年はコウモリが3連覇への追い風に乗ってきた。

 アウェーの浦和戦に向けてオリベイラ監督はこの日のミーティングで「言葉ではなく、ピッチで結果を出そう」とげきを飛ばした。選手には「必要以上のことは話さないように」とかん口令を出して、指揮官直々に取材エリアに見回りに現れた。その緊張感も3連覇への意欲の表れ。ほどよい緊張とコウモリが運ぶ幸運。偉業達成へ着々と舞台は整ってきた。【菅家大輔】