J1清水は29日、天皇杯準決勝(午後1時=エコパ)で名古屋と対戦する。悲願のタイトルまで、あと2勝と迫った大一番でFW岡崎慎司(23)が堂々のゴール宣言だ。27日の練習中、接触プレーで左目の上に裂傷を負う、ハプニングに見舞われたが「プレーには問題ない」と断言した。今年、最も輝きを放ったストライカーが年内最終戦を締めくくるゴールで、4年ぶりの決勝へ進出する。

 多少の切り傷は岡崎には関係ない。27日の練習で左目上に約2センチの裂傷を負ったが、この日は全体練習でフルメニューを消化。「さすがに、昨日の今日なんでちょっと怖かった」というが、果敢に空中戦にも挑み通常通りの調整を終えた。練習後は「重荷になるようなけがじゃない。大丈夫だけど簡単に(傷口が)開いてしまうから」と、縫合処置のため病院に向かった。

 患部は多少の腫れが残り、まぶたが重そうだったが勝利への視界が曇ることはない。「もともと目は細いですからね」とジョークを飛ばしながら「今は名古屋を倒して決勝に行くことしか頭にない。内容よりも勝つことが大事」と鋭いまなざしで話した。

 今年はストライカーとして驚異的な成長を遂げた。1月20日の日本代表イエメン戦でA代表初ゴールをマーク。日本を4大会連続のW杯出場に導くウズベキスタン戦の決勝点を含め、日本代表戦で最多の15得点を量産。清水でもリーグ戦でチーム最多の14得点を挙げ、エースとして絶対的な存在感を発揮してきた。

 名古屋戦は1年間の成長の真価を問うには最高の舞台となる。けがから復帰後は公式戦4戦連続完封中の日本代表GK楢崎との日本代表対決に「経験もあるし、うまいけど勝つためには点を取らないといけない。ぼくは点を取る場所(ポジション)にいる。取らないと何にもならない」とキッパリ。岡崎の視線の先には国立のピッチがくっきりと映し出されている。【為田聡史】