川崎Fの日本代表MF中村憲剛(29)が24日、下あご骨折で全治6~8週間と診断された。23日のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)城南一和(韓国)戦で骨折。帰国したこの日、横浜市内の病院で診察を受け、あごの先端と付け根の2カ所の骨折が判明し、そのまま入院した。25日に金属プレートを埋める手術を受ける。これで日本代表の国内組最終選考試合となる4月7日の親善試合セルビア戦(長居)の出場は絶望的。中盤は激戦区だけに、W杯代表入りに黄信号がともった。

 あごに巻かれた包帯が痛々しかった。羽田空港に到着した中村憲は、報道陣に不自由な口で「すいません」とだけ言い残し、車で横浜市内の病院に直行した。診察結果は、下あごの先端と右の付け根の2カ所の骨折で全治6~8週間。3月3日のバーレーン戦、同6日のJ1開幕戦(対新潟)どころか、4月7日の日本代表国内組の最終選考試合となるセルビア戦出場も絶望的になった。

 25日に、骨折したあごの真ん中を固定するための金属プレートを埋め込む手術を受ける。右付け根の骨折個所にも必要があれば埋め込むという。2~3週間は歯が開かないように固定され、ストローからの流動食になる。高木チームドクターによると、6週目(4月5日以降)にランニングや対人プレーを始め、8週目(4月19日以降)に全体練習に合流。5月のJリーグで試合復帰を目指すという。

 同ドクターは「5月に2~4試合できれば(W杯出場は)問題ない」と話した。しかし、現実的には今回の負傷は、5月中旬に発表される23人のW杯代表入りに、大きなハンディになる。中村俊や遠藤、長谷部ら選手層の厚い中盤は最大の激戦区。レギュラーではない中村憲にとって、国内組最後のアピールの場となるセルビア戦に出場できないのは痛い。3~4月のJリーグでのアピールもできない。たとえ予定より早く復帰できても、体力が試合勘が戻るまで時間も必要になる。W杯イヤーに中村憲が悔やみきれない負傷を負ってしまった。【塩谷正人】