<J1:鹿島2-0浦和>◇第1節◇6日◇カシマ

 浦和のフィンケ監督(61)は、試合終了後もしばらくベンチを動かなかった。昨季開幕と同じ相手に同じスコアでの完封負け。「勝ち点3を取りたいと思っていた。結果について選手たちが恥じる必要はない」。肩を落として引き揚げる選手たちの姿を最後まで目で追った。

 打倒鹿島を意識した采配が、裏目に出た。開幕までの計12戦の対外試合でテストした2トップではなく、エジミウソンの1トップに変更。「エスクデロやポンテ、柏木がいる。彼らの特長と個性を考えた」と攻撃的な中盤をそろえて支配率を高める狙いは外れ、鹿島の素早いプレスに決定機を封じられた。

 終盤にはFW田中と原口を投入したが、練習で1度も試していない超攻撃型布陣に選手たちは各自の役割を見失い、混乱した。広島から新加入した柏木が「攻撃のスイッチが入らなかった。もっと縦に抜ける動きをチーム全体でできたら…」と悔やめば、DF平川も「相手に裏のスペースへ蹴られたとき、DFは追っても前線が残ったまま。クリアしても拾われた」と、攻守で連動性を欠いたことを指摘した。王座奪回とACL出場権獲得という目標を掲げて臨んだ今シーズン。3季連続の開幕黒星という苦難のスタートは変わらなかった。【山下健二郎】