<J1:鹿島2-0浦和>◇第1節◇6日◇カシマ

 史上初の4連覇を目指す鹿島のFW興梠慎三(23)が、日本代表の岡田武史監督が視察した浦和戦で、スライディングボレーで先制点を決め、勝利に貢献した。

 本能の赴くままに右足を伸ばすと、足の外側でとらえたボールは先制点となってゴールに突き刺さった。MF小笠原のクロスを、鮮やかなスライディングボレーで決めた興梠は「どこで蹴ったか分からないです。足の裏かも。とにかく当てようと思った」と笑みを浮かべた。

 視察に訪れた日本代表の岡田監督への強烈なメッセージとなった。3日のアジア杯予選バーレーン戦で代表復帰したが不出場。「チームでアピールしていけば、また呼ばれると思う」。ホームでゴールした試合は19戦無敗、現在18連勝中。その勝負強さを代表で発揮するためにも、コツコツと結果を積み上げることの大切さは分かっている。

 50メートル5秒台の快足と野性味あふれるプレーが注目されるが、足元も巧みだ。鵬翔高時代は2列目を務め、高い技術を生かしたアシストも多かった。この日の高難度のゴールも「難しかった?

 全然。当てるだけだったんで」とひょうひょうと振り返ったほどだ。

 アシストした小笠原と代表生き残りを目指すホットラインで試合を決めた。興梠が「満男さんならいい動きだしをすればピンポイントで出してくれると思った」と話せば、小笠原も「慎三とは(ゴールへの)イメージが合っている」と信頼感を表した。昨季の興梠のリーグ戦12点中、小笠原のアシストは5。抜群の連係は代表でも生きるはずだ。

 この日、オリベイラ監督からフランスリーグ7連覇のリヨンを例に「彼らができるなら、我々も3連覇では満足できない」とげきを飛ばされ、奮起したチームは4連覇へ最高の1歩を踏み出した。次戦は9日のACL全北戦。DFイ・ジョンスが右足首故障で欠場、伊野波も右足痛を抱える状況だが、「しっかり結果を出したい」と話す興梠が得点を決めれば、自身にも、鹿島にも明るい未来が見えてくる。【菅家大輔】