<J1:鹿島1-0大宮>◇第3節◇20日◇NACK

 鹿島の若き背番号9が試合を決めた。後半37分の交代出場から、わずか30秒後。FW大迫勇也(19)がFWマルキーニョスのクロスを右足で流し込んだ。ファーストタッチでの決勝弾に「今季は出場時間が短かったから、結果を出さないといけなかった」。危機感を力にした。

 発奮材料があった。入団1年目の昨季から慕うDF伊野波に19日朝、第1子の長女桜花(おうか)ちゃんが誕生。写真も最初に見せてもらっていた。「イノさんのためにも点が取れてよかった」。得点直後の「ゆりかごダンス」で喜びを分かち合った。

 プロ1年目の昨季は序盤に定位置をつかんだが、終盤に失速した。今季は途中出場ばかりと苦しんだ。その中で09年8月23日の東京戦以来209日ぶりの得点をもぎ取り、伊野波からも「大迫は出られなくてかなり悩んでいたから、点を取ってくれてよかった」と称賛された。

 視察に訪れた岡田監督は途中で退席したため、得点シーンを見せられなかったが、W杯の「育成枠」選出の可能性もある。「今はとにかくチームで結果を出したい」。苦悩の時を経た19歳の点取り屋が、大苦戦を強いられた鹿島を救った。【菅家大輔】