12年ぶりに“水前寺の奇跡”再現か!?

 コンサドーレ札幌が2日、アウェーで熊本と対戦する。FW中山雅史(42)にとって会場の熊本市水前寺競技場は98年に4得点をマークし、3戦連続ハットトリックを達成した場所でもある。熊本戦を前にした1日、「再現できれば上昇へのきっかけにもなる」と明言。チームは4試合未勝利と結果が出ていないが、伝説のゴンゴールショーでチームを勇気づける。

 札幌がどん底からはい上がるために必要なのは技術でも戦術でもない。気持ちだ。現在勝ち点8の15位。下には4クラブしかない。男のプライドをかけた熊本戦。直前練習となった1日の練習は、危機感につつまれていた。選手1人1人がプレーが止まるたびに意見を出し合った。そして、その中心でゴンが大声を張り上げていた。「おし来い!」「気合入れるぞ、おい!」。理屈より、まずは気合だ。そう言わんばかりの雄たけびが、熊本の青空に響き渡った。

 伝説の水前寺ショー再現で沈むチームに魂を注入する。会場の水前寺競技場は98年4月25日の福岡戦で3試合連続ハットトリックを達成した場所でもある。ギネス記録の4戦連続ハットにつながった思い入れのある舞台だ。「そういうことも再現できれば何か上昇へのきっかけになる」。ここ3試合は出番なし。熊本戦もベンチスタートながら、12年前の水前寺ショーも後半8分の幕開けだった。決して無謀な宣言ではない。可能性はある。

 燃える理由は競技場だけじゃない。相手の熊本には磐田で12季をともに闘った戦友藤田がいる。ピッチ上での対決が実現すれば藤田が名古屋在籍時の07年5月以来。磐田を離れてからは初対戦となる元同僚について「いやらしい選手。注意が必要だし、そこだけにこだわってもいけない」と警戒した。敵将はA代表で2トップを組んだ高木琢也氏。思い入れのある相手、舞台ともにそろった。あとはあいさつ代わりのゴールを決めて、札幌を負の連鎖から救うだけだ。

 チームの現状について「誰かがやってくれると待っていてはダメ。止まってたら始まらない。自分たちからアクションを起こさないと」と説いた。白星は歩いてこない、だからつかみにいくんだよ。逃げ腰で惨敗した甲府戦の二の舞いはごめんだ。自らの1発で札幌を目覚めさせる。【永野高輔】