堅守のイメージが強いモンテディオが失点を繰り返した。ここまでJ1リーグ戦を12試合消化し、山形は13位。10位以内でW杯南アフリカ大会の中断へ-という目標にはわずかに届かなかった。要因に挙げられるのは積み重ねた失点の多さ。小林伸二監督(49)の、守備面での「挑戦」が影響した数字だが、リーグ再開後の躍進につながる可能性も秘めている。

 ゴールを奪いたい場面で、失点を繰り返す-。そんな歯がゆいゲームが、ここまでのリーグ戦で繰り返されている。小林監督は、こう分析する。

 小林監督

 攻めなければいけない場面は、もちろんあります。ただ、その時の(攻守の)バランスに難がある。

 前線でタメをつくることができるFW田代が加入したことで、山形のプレーゾーンは昨季より確実に高い位置に変化した。ただし、攻め切れないシーンも多く、逆にカウンター攻撃のえじきとなる。得点への欲求が強くなるビハインドの状況で“負の連鎖”に陥る。12試合のうち5試合がマルチ(複数)失点という結果がバランスの悪さを物語っている。

 小林監督

 酒田キャンプでバランスの修正と、個人のところ(1対1)をやりたい。

 明確な課題の修正を、指揮官は誓った。

 今季途中から、相手に高い位置からプレスをかけられるように、システムを「4-4-2」から「4-3-3」などに変更し、試行錯誤してきた。陣形だけでなく、昨季と違う守備の約束事に、変化をつけていた。昨季は陣形を崩さずに相手を待ちかまえ、ボールを奪っていた。だが今季は、ポジションチェンジを頻繁に行うため、マンツーマンディフェンスとゾーンディフェンスの「ミックス策」に挑戦。ただ、相手の受け渡しに難があったため、18失点(ワースト4位タイ)もした。

 だがリーグ中断後のナビスコ杯で、守備面の呼吸がようやく合い始めた。高い位置でのプレスを、あきらかに嫌がる相手クラブもあった。小林監督は「システムも戦術も、もうひとつレベルを上げられるように、キャンプに取り組みます」。再開戦となる仙台戦(7月17日)で、進化を見せつける。【山崎安昭】