<J1:川崎F4-0名古屋>◇第19節◇18日◇等々力

 首位名古屋をホーム等々力に迎えた4位川崎Fが、4-0で大勝した。高さが武器の相手DFをスピードでかき回しての勝利。167センチのMFヴィトール・ジュニオール(23)の2ゴールなど、作戦通りの4得点で、決定力不足だったチームに明るい光がさした。名古屋にはめっぽう強く、05年10月の対戦からこれで11戦無敗。勝ち点38の名古屋から同35の川崎Fまで、勝ち点3の中に4チームがひしめく大混戦となった。

 高さを誇る名古屋の牙城を、川崎Fの快速アタッカー陣が切り崩した。1-0で迎えた後半19分、狙い通りのゴールが生まれた。右サイドのスペースで受けたFW黒津が抜群のスピードで相手DF3人を一気に振りきった。ゴール前では191センチのDF増川と185センチのDF闘莉王が待ち構えるが、ニアサイドに飛び込んだヴィトール・ジュニオールが押し込み2点目を奪い試合を決めた。「強くて速いボールや、早めのニアなど対策を練ってきた。まともに空中で勝負したら勝ち目はないけど、速さはないですから」と黒津はイメージ通りのアシストに笑顔を見せた。

 ミーティングで相手DFの特徴を確認し、練習からセンタリングの反復練習に重点を置いた。ラインを整える前に早めに。サイドをえぐって低く速く。地上戦のバリエーションの量と質を向上させていたことが実戦で実った。

 名古屋戦出場10戦で11発のFWジュニーニョも、ニアの速いボールを受けてのゴール。今季初アシストとなったDF小宮山も「練習で徹底したことで、みんなの意識が変わった」と手応えを得ていた。

 これで名古屋に対し、最近11戦負けなし。選手らは「相性はあまり意識はしていなかった」と首をひねるが、高畠監督は「ここが正念場だと、選手が狙いの意識を高く持ってくれたことが勝因」と評価した。

 J再開後、決定力不足に悩んでいた攻撃陣が4得点。今後の21日新潟戦、29日清水戦はともにアウェーだが、いずれも敵地で1度も勝ったことがない。しかし、黒津は「今日ボクだけ決められなかった悔しさはオレンジ2つで。チームに勢いはついたし、結束も深まった」と意気込んだ。上位4チームが勝ち点3差のなかにひしめく大混戦。この勢いを持続すれば、初タイトルも見えてくる。【鎌田直秀】