<ナビスコ杯:広島2-1清水>◇準決勝第1戦◇29日◇広島ビ

 清水は広島戦に敗れた。2点を先行される苦しい試合だったが、後半31分、ゴール前のこぼれ球をMF枝村匠馬(23)が押し込み貴重なアウェーゴールをマーク。このゴールでホームで迎える第2戦(10月10日=アウスタ)は1-0の完封勝利でも決勝進出が決まる。第2戦の白星が最低条件だが、ナビスコ杯決勝初の「静岡ダービー」に望みを残した。

 枝村が2年ぶりの決勝進出へ希望をつないだ。2点ビハインドの後半31分。MF山本真の右クロスが相手守備陣の連係ミスを誘い、そのこぼれ球をゴール前に詰めていた枝村が、すかさず押し込んだ。「自分にチャンスが来ていた。運も良かったのかな。でも(アウェーゴールは)でかいと思う」。ゴールを確認するとすぐさまボールを拾った。笑顔は無く、次のプレーを急いだ。

 25日のリーグ名古屋戦に続く公式戦2戦連発弾は、いずれも敗戦の中での得点とあって、華やかなスポットライトを浴びることはない。この日も敗戦となったが、ホーム&アウェーというルールで戦うナビスコ杯のアウェーゴールには明確な価値がある。長谷川監督も「希望の1点」と表現し「0-2だと2点を返さないといけないけど、これで1-0でもよくなったので、第2戦は現実的な戦いができる」と、話した。

 ただ、敗戦したことには変わりなく第2戦は勝利しなければ決勝進出はない。枝村は「第2戦も厳しいゲームになることには変わりない。決勝進出を決めて初めて、このゴールの価値が出てくる。そうなるようにしたい」と、口元を引き締めた。

 終始厳しい表情で試合を振り返った枝村が象徴するように一喜一憂している暇などない。中2日でリーグ鹿島戦(30日=カシマ)が控え、またしても、過密日程の中での、広島-鹿島の長距離移動が強いられる。負けられない試合、いや、勝たなければいけない試合が続く。【為田聡史】