<J1:山形1-0浦和>◇第28節◇30日◇埼玉

 山形がJ1昇格後、リーグ戦で初めて浦和に勝利した。シュートを22本も打たれる苦しい展開。耐え忍んで迎えた好機に、途中出場のFW田代有三(28)が応えた。両チーム無得点の後半36分、DF石川竜也(30)のFKをわずかに頭に当て、ネットを揺らした。過去浦和とのリーグ戦成績は1分け2敗。苦手の相手を撃破し、勝ち点も35に伸ばした。

 これぞ山形の真骨頂だ。立ち上がりは浦和の猛攻を、あえて受けた。ペナルティーエリア内に侵入されても人数をかけ、攻撃の選択肢をつぶす。低い位置での守備にヒヤリとした場面もあった。前半17分、FKからFWエジミウソンが頭で合わす。ゴール左隅を襲ったボールをGK清水が左に思い切り跳び、間一髪で外へはじき出した。

 次第に浦和はシュートをちゅうちょしたり、トラップミスを連発。しのぎ続けることで焦りを誘発した。小林監督は「狙い通り。いつも前半良い感じで攻めて、一息ついたところで決められていた。今日は『あまり(前線に)行くな』と伝えていた」。清水やDF小林も「ウチらしい戦い」と口をそろえた。

 堅守で引き寄せた流れを、エースの“横取り弾”でゴールにつなげた。後半36分、石川が左足で放ったFKはゴールへ飛び込んだ、かに思えた。実際は田代の頭をかすめ、微妙に軌道が変わっていた。「みんな『触っていないだろ』って言ってたけど、ほんの少し(触れた)感じはあった」と笑いながら“弁解”した。今季7点目は7月17日のホーム仙台戦以来。もがいていた元日本代表にとって待望の復活弾だった。偶然にも日本代表ザッケローニ監督が視察した試合で結果を残した。「もちろん(代表は)目指したいけど、スタメンで出て点を取らないと」と引き締めた。

 G大阪、川崎F、清水、浦和。10月の対上位4戦で、勝ち点を6上乗せした。「勝ち点が(リーグの総)試合数(34)を超えたのは大きい」と小林監督。勢いそのままに、J1残留を決めるべき11月に入る。【湯浅知彦】