海人の出番がきた。清水GK山本海人(25)が天皇杯準々決勝山形戦(25日=アウスタ)で、今季公式戦初出場することが濃厚になった。長谷川監督は負傷中のGK西部、GK武田の代役として山本海を指名。PK戦の末に惜敗した昨年度の天皇杯準決勝名古屋戦以来、約1年ぶりの出番に「背番号1」が気持ちを高ぶらせた。

 悪夢を打ち消すチャンスが到来した。22日の紅白戦で主力組のゴールマウスを山本海が守った。長谷川監督は「ここ10日間の練習のパフォーマンスが良かった。まあ、去年もやってるし大丈夫だと思います」と、先発起用を示唆。山本海も「まだ、はっきり決まったわけじゃないので気を抜かずにやる」と、気を引き締めた。

 昨年の天皇杯準決勝名古屋戦はPK戦の末、屈辱を味わった。「(名古屋GK)楢崎さんといい勝負ができたと思っているし、自分自身はすごく楽しめた。でも、最後のPKはね…」。GKにとって最高の見せ場でもあるPK戦。ところが、バーに当たり相手が失敗したと思われた一撃が、自分の背中に当たりゴールに吸い込まれた。瞬間、敗退が決まった悔しさを忘れることはできない。

 今季は背番号を29から1へ変更し心機一転を誓った。8月には美也夫人と結婚し、プライベートも充実。しかし、サッカーでは結果から遠ざかった。開幕直前に右ひじ、右肩を相次いで負傷し離脱。W杯中断明けに再びレギュラー奪取を狙ったが、持病の腰痛が再発するなど、ここまで公式戦の出場は1度もない。

 もがき苦しんだ1年間だったが、復帰戦はくしくも天皇杯が舞台となった。「練習を頑張ってきたことは、ほとんどの人が知らない。試合でしっかりと証明したい。もう1度、ベスト4に行くという思いが強い」。自分の力で準決勝へ。リベンジの舞台への進出を固く誓った。【為田聡史】