いよいよ11年のJリーグが明日5日、全国各地で開幕する。サポーターの注目は圧倒的に日本代表、海外組の活躍に集まる中、果たして日本サッカーの根幹であるJリーグは、このままでいいのか、との視点に立ち、「塾長」秋田豊氏(40)が問題点をズバリ指摘。19年目を迎える日本最高峰のリーグの現場、フロントに本音の辛口提言を投げかけた。

 Jリーグが盛り上がるため、もっと観客に見てもらうため、選手には「激しさ」を求めたい。先月26日のゼロックス・スーパー杯の名古屋-鹿島戦。前半の両チームのプレーは、球際、競り合いで全力でぶつかっているように見えなかった。本当にボールを奪いにいっているのか。ただ体をぶつけているだけじゃないのか。そう感じた。

 93年のJリーグ開始当時、なぜあれだけ盛り上がったのか。僕らは技術がなかった分だけ、全力でボールを追った。体のぶつかり合いは増えたし、必死さが観客に伝わったはずだ。今は技術は格段に上がったが、常に全力を出し切る気持ちは衰えてきていると思う。中には「このレベルでいいや」と諦めている選手がいる。練習環境は良くなり、衣食住に困らない。そこで満足しては、100%の力は出せない。

 代表の中心選手、本田圭佑には「激しさ」があった。名古屋で04年から06年まで一緒だったが、彼には「海外でサッカーをする」という強い決意があった。うまくも速くもなく、試合後は毎回「全然ダメ」と散々に言ったけど、翌日の練習では課題を克服しようと常に前向き。「こいつはすごい」と思った。上に行く目標があるからこそ、厳しさが出た。

 今、欧州で日本人選手が活躍、海外からの注目もある。チャンスだからこそ、現状に絶対に満足してはいけない。本田圭のような野心、メンタリティーを持った選手。そのプレーは絶対に観客を引きつけるはずだ。