<なでしこリーグ:INAC神戸4-1福岡AN>◇第18節◇20日◇博多の森陸上競技場

 INAC神戸のFW川澄奈穂美(26)が初の得点女王に輝いた。既に前節で初優勝を決めていたINAC神戸は、最下位福岡ANに圧勝。得点ランキングでトップを並走していた川澄と同僚のFW大野忍(27)が仲良く1ゴールずつを決め、ともに12得点で得点女王に輝いた。大野は2年連続4度目。INAC神戸は13勝3分けの無敗で全日程を終えた。

 まさかの“ラストパス”に目を丸くした。2-0でリードしていた前半35分。中央付近でボールを受けた川澄は、左へ開いた大野へヒールパス。フリーになった大野は、そのまま得点も狙えたが、ゴール前に駆け込んだ川澄にボールを供給した。得点女王争いを繰り広げるライバルからの優しいパス。背番号9は軽く右足を合わせるだけだった。

 川澄

 しのさん(大野)からパスは来るな~と思っていたので。完璧なタイミングでした。

 大野

 あそこは自分でも決められるところですけど、自分の位置より確実に点が取れると思ったのでナホ(川澄)に渡して正解だった。

 チームの勝利を最優先にした大野からの“温情”に今度は自分が応える番。川澄が放ったシュートは得点を決めた時の1本だけ。後は大野に献身的にパスを出し後半28分、大野のゴールをアシストした。

 川澄

 得点王は何人でも狙えるモノですし「取れるなら2人で」と(監督からも)指示が出ていた。

 最後は仲良く“手打ち”となった得点女王争い。なでしこジャパンで世界一に輝き、リーグ初優勝を無敗で飾り、初の個人タイトルまでもぎとった。入団4年目の主将にとって、忘れられないW杯イヤーの締めくくりだ。

 川澄

 チーム内で最後まで(タイトルを)争えたのはよかったと思います。自分はそんなに得点王を意識しなかったけど、今季はこれ以上ない結果だった。優勝も得点王も、来年もまた取りたい。

 現状に満足することなく、前を向く“新女王”の姿があった。【土谷美樹】