<皇后杯:伊賀2-1仙台レディース>◇準々決勝◇15日◇ユアスタ

 笑顔なき終戦となった。仙台レディースは伊賀に敗れた。後半23分にFW井上綾香(18)のゴールで1度は追いついたが、40分にセットプレーから痛恨の決勝点を献上。昨季ぶっちぎりでチャレンジリーグを制したチームにとっても、なでしこリーグの壁の高さを痛感する1年となった。浮き彫りとなった課題、そしてこの日流した悔し涙を、来季につなげる。

 降り続く雪のように、流れる涙も止まらなかった。サポーターに深く、長い一礼を終えると、DF下小鶴はそのまま崩れ落ちて立ち上がれない。悲痛な背中が、主将の今季にかける思いを物語っていた。後半20分にFKから先制されたが、3分後に井上の個人技で追いついた。しかし、再びFKのこぼれ球を押し込まれて万事休す。「チームの調子がいいように見えて、現実として上位にいけていない。常に苦しかった」。大黒柱の口から、思わず本音がこぼれた。

 10月以降、この日を含めた上位陣との対戦4試合はすべて1点差負け。強敵との接戦に勝ちきれなかった。皇后杯からはDF鮫島をなでしこジャパンの定位置、左サイドバックに下げて攻撃の活性化を狙ったが、打開には至らず。千葉監督は「左サイドを活性化しようとトレーニングしてきたが、崩せなかった。攻撃が単調だった」と悔やむ。GK天野が「今日は縦に急ぎすぎていた。今季よく聞かれた『練習ではやれてたのにね』という言葉を減らしていかないと」と指摘したように、一進一退の状況が焦りを生み、想定したプランを徹底できなかった。

 リーグ戦が5位、リーグ杯は1次リーグ敗退、そして、皇后杯は準々決勝敗退。千葉監督は「今日の負けも、悔しい思いも、来年強くなるための糧になる」と前向きに締めくくった。J1仙台が11年の再昇格2年目に4位躍進を果たしたように、来季は勝負のシーズンでもある。なでしこでの現在地を知った1年を、決して無駄にはしない。【亀山泰宏】