<プレナスなでしこリーグ:吉備国際大0-3仙台>◇第5節◇27日◇カンスタ

 仙台レディースがアウェーで吉備国際大を破り、2試合連続完封で2位をキープした。前半31分にFW小野瞳(25)のゴールで先制すると、後半にも2点を追加。右膝前十字靱帯(じんたい)断裂から1年ぶりに出場したFW小山季絵(25)の復帰戦を勝利で飾った。

 欠けていた最後のピースが、ついに埋まった。3-0とリードした後半30分、負傷以来初めてベンチ入りした小山がピッチに立った。昨季苦しめられた主力の故障者が全員戻り、初の複数得点で4度目の完封勝ち。千葉監督は「試合は今年で一番安心して見ていられたし、必要な選手たちも戻ってきた」と喜んだ。

 ともに苦難を乗り越えてきた小山をピッチに立たせたかった。全員が自陣に引いて守る相手を崩しきれずに迎えた前半31分。1トップの小野が「先に1点取れば季絵が入ってこれる」とDF3人に囲まれながら左足を振り抜いた。2人は誕生日が2日違いの同い年で、早大からのチームメート。11年に東京電力マリーゼに同期入団したが、直後に震災の影響で休部という絶望を味わった。どんな時も励まし合ってきた小山と2トップを組むと、自分でゴールを狙わず「どうにか季絵にボールをつなぎたかった」とパスを送り続けた。

 同じケガから復活した「88年組」の仲間たちの思いも同じだった。田原はベンチで無事を祈りながら右膝をさすって送り出した。昨年の同時期に離脱し、この日1年ぶりに先発した嘉数は交代時にハイタッチ。痛み止めを飲み、何重にもテーピングした右足でシュート2本を放った小山は「みんなパスをくれたので決めたかったけど、戻ってこられて本当にうれしい。リハビリを頑張ってきてよかったです」と笑顔を見せた。

 試合後、小山は抱き合って復帰と勝利の喜びをかみしめた。次の目標は「ノンちゃん(田原)やカカ(嘉数)とも一緒に出て、点を取ること」。固い絆で結ばれた仙台レディースが、盤石の布陣で首位浦和を追撃する。【鹿野雄太】