清水のホーム開幕戦でプロ入り2年目のFW鍋田亜人夢(19)がベンチ入りメンバーに選出された。21日、非公開練習を終えたゴトビ監督は「サプライズは1つある。鍋田をメンバーに入れる」と、明言。「ここ2日の練習でゴールを決めている。今のチームにはゴールを決める選手が必要」と、説明を付け加えた。

 練習後にメンバー入りを告げられた鍋田本人も驚きの表情だった。「自分でもびっくりしました」と、大抜てきに笑顔を見せた。ともに控え組での出場だったが、20日の紅白戦で2得点、この日の紅白戦でも1得点をマークするなど好調をアピール。指揮官は「名前ではなくパフォーマンスで評価するということが、ほかの選手にも伝わったと思う」と、チーム内の相乗効果にも期待した。

 悔しさからの反発もあった。オランダ遠征メンバーからは漏れ、チームの遠征中は、居残り組として、けが人中心のたった6選手で練習をした。「悔しいという気持ちしかなかった。でも今となれば、それもいいエネルギーになったとも思う」と、満足そうに話した。

 ただ、勝負はここからだ。結果を残さなければ次のチャンスはいつくるか分からないのがプロの世界。「ワンチャンスで自分の価値が決まる。プレーに自信を持って必死にやる」と、意気込んだ。さらに「ゴールを取りたい」と、デビュー弾を狙うことも宣言した。

 99年のチャンピオンシップはアウスタのスタンドでサポーターとして応援していたサッカー少年が、ついに「プロデビュー」の夢をかなえるときがきた。【為田聡史】