<J1:甲府3-1名古屋>◇第11節◇15日◇中銀スタ
Jリーグ版“巨人の星”だ。今季J1に昇格した甲府のFWハーフナー・マイク(23)が、初の親子対決を自らの決勝点で制した。父ディド(53)がコーチを務める昨季王者名古屋と対戦。1-1の後半26分に左足で技ありの勝ち越しゴールを決めた。この1発で勢いづいた甲府は3-1で快勝し、1331日ぶりにJ1で勝ち点3を獲得した。
約1万4000人の甲府サポーターに、そしてスタンドの父に、「成長」を見せつける1発だった。1-1の後半26分、右サイドで片桐がボールを持った。ハーフナーは相手センターバック(CB)が右に寄ったのを見逃さなかった。CBの左側へ走り込み、194センチの長身をさらにジャンプ。パスを胸で受けて、飛び出した元日本代表GK楢崎を見透かし、左足を合わせてゴールに決めた。
同33分にはFW松橋が頭で決め、昨季J1王者の息の根を止めた。07年9月22日の広島戦以来1331日ぶりのJ1勝利。「(片桐は)動きだしを見てくれている。絶対パスが来ると思った。イメージ通り」と、ハーフナーはゴールシーンを振り返った。
初の親子対決でもあった。幼いころから英才教育で指導してくれた父ディドは名古屋のコーチ。父星一徹がコーチを務めるチーム相手に、息子の飛雄馬が完全試合を演じた、あの劇画「巨人の星」そっくり。「僕はうれしくないけど、マイクはうれしく思っているだろう」とディド・コーチも複雑な表情だった。
会場に駆けつけた母ギタさんは、息子のゴールに大喜びだった。「初めてゴールしたところを見ました。決まった瞬間は跳びはねましたよ」と興奮気味。腕相撲ではハーフナーよりも強いというギタさんは「マイクのDNAはディドのではなくて私のDNAね」。現在はハーフナー1人が甲府で生活し、家族はディドと一緒に名古屋で生活しているという。
ハーフナーは2歳のころから、86年にGKコーチ兼務でマツダ(現広島)に入団した父からサッカーの手ほどきをうけた。03年に父の横浜コーチ就任に伴い横浜ユースへ。昨年は甲府でJ1昇格の原動力になった。息子の活躍に父は「マイクが点を取った」と喜んでいたが、ライバルになった今年はお互いを話題にすることはなくなった。ふだんから家族の話題を口にしたがらないハーフナーは、この日も「絶対勝ちたいと思っていた」と話しただけで、感慨に浸ることはなかった。【加納慎也】



