<ACL:FCソウル3-0鹿島>◇決勝トーナメント1回戦◇25日◇ソウル

 鹿島がまたしてもアジアの壁に阻まれた。前半38分に先制を許し、後半10分、終了間際にも追加点を奪われ万事休した。前半、シュート0本に抑えられた鹿島は後半スタートからFW興梠慎三(24)の1トップにシステム変更。同点を狙ったが及ばなかった。これで鹿島のACLは4年連続決勝トーナメント初戦敗退となった。

 完敗だった。攻めてはチャンスらしいチャンスをつくれず、守っては今季公式戦13戦中4試合目の3失点。オリベイラ監督は「収穫は一切ない。一瞬でも早く忘れ去りたい」。DF岩政も「相手が強くて、ぼくらが弱い。そういう試合。力負けです」。MF小笠原満男(32)は報道陣の呼び掛けにも立ち止まらず、怒りと悔しさをにじませた表情で無言のまま会場を後にした。

 万全を期して挑んだ一戦だった。不調で21日の浦和戦をメンバー落ちしたMF小笠原がスタメン復帰。この試合を見据え、同戦を回避したDF新井場も先発に名を連ねた。浦和戦の2日前からACLの使用球を使い、PK練習を行った。オリベイラ監督が自ら蹴り方の指導をするほどの念の入りようだった。さらに、ピッチ外の精神的支柱として左肩関節脱臼でリハビリ中のDF中田を帯同させた。チーム一丸で勝利をつかむはずだった。

 だが、前線でボールが収まらず、セカンドボールを拾えず、運動量でも相手に圧倒された。シュート本数は3-20。前半はシュート0本に抑えられ、リーグ戦5戦12失点と課題の守備の修正も見られなかった。クラブ創設20周年目を迎えた今季、目標としていた悲願のアジア制覇の夢が、最悪の形でついえた。【塩谷正人】