平年より12日早い梅雨入りでも静岡ダービーは熱い。磐田の柳下正明監督(51)は自信にあふれている。監督として過去6度のダービーで1敗だけという相性の良さに加え、開幕から1ケタ順位をキープ。積極采配で宿敵を攻略する。

 伝統の一戦を翌日に控えた練習でも余裕の表情だった。27日、パス回しとシュート練習でいつも通りの最終調整を行った。終始笑顔を見せながら練習を見守った柳下監督は「自分たちのリズムの時に点を取ることができれば勝ち点3は取れる」とうなずいた。

 今季は開幕戦で6年ぶりに勝利。その後は冷静な戦術眼が光る。リーグ再開戦では途中出場のFWジウシーニョが、ホーム開幕戦は終了寸前に起用したルーキーFW金園が同点弾を決めて勝ち点1を拾った。さらに、2点ビハインドとなった仙台戦も後半から初めて3バックを試してドロー。劣勢でも着実に勝ち点を積み上げ、柳下体制3年目で、7戦終了時の順位は過去最高の5位につけている。

 さらに、指揮官は03年を含めると、過去リーグ戦で清水と6度対戦して1敗しかしていないデータも後押しする。それでも、決して気は抜かない。相手の攻撃陣を連日ビデオで分析し「高原はキレが戻っている。シンジ(小野)をフリーにさせてはいけないし、アレックスも危険な場所に入ってくるので注意しなければならない」と警戒を強めた。この慎重さが、本番での大胆采配につながっている。【神谷亮磨】