<J1:清水0-0磐田>◇第13節◇28日◇アウスタ

 今季初の「静岡ダービー」は、痛み分けのスコアレスドローに終わった。両者無得点は39戦目となるダービー史上2試合目。最後まで緊迫した好ゲームを演じたが、歓喜の瞬間は、どちらにも訪れなかった。ホームの清水FW高原直泰(31)は「結果を出せなくて申し訳ない」と、無得点を悔やんだ。

 清水は勝ち点1しか積み上げられなかった。雨のアウスタで今季初の連勝だけを狙ったが、1ゴールも挙げられずに試合終了を迎えた。2試合連続先発フル出場の高原は「ホームで勝てなくて、すごく残念。ボールをつなぎながら攻撃できたけど…。決めきれなくて残念です」と、攻撃陣を代表してコメントした。

 最大の好機で微妙な判定にも泣かされた。後半40分、MF小林大悟(28)の絶妙な左クロスをFW大前元紀(21)が左ボレーで磐田ゴールを狙った。シュートは確実にゴールマウスをとらえたが、ゴールライン上で相手DFのブロックに阻まれた。アフシン・ゴトビ監督(47)は「私のところからはハンドに見えた」。大前も「ヘディングじゃない。当たっていたような感じだったけど」。清水サイドとしてはハンドの反則でPKを主張したが、主審の笛は鳴らなかった。

 上位に位置する磐田に対し、引き分けは最低限の結果とも言える。だが、ダービーだからこそ、ホームだからこそ勝利に強くこだわった。相手の前田、山崎の強力2トップを完全に封じたDF岩下でさえ「勝ちきらないと自信はつかない。(結果に対し)納得がいかない部分の方が多い」と、悔しさをあらわにした。

 ただ、白熱した一戦にゴトビ監督は高評価を口にした。「私はチームを誇りに思う。彼らはベストを尽くしてくれた。しっかりとした組織で試合を運び、相手にプレーをさせなかった。そして、清水のサポーターがスタジアムに持ってきてくれたエネルギーに感謝している」と、サポーターにも敬意を示した。

 5月は1勝2分け2敗と苦戦が続いた。6月はナビスコ杯初戦(甲府戦)を含む6試合の過密日程が待ち受ける。「将来的に我々に太陽が照ってくれればいいなと思う」と指揮官。雨のち晴れ-。すっきり晴れる日を待っている。【為田聡史】