<J1:清水0-0横浜>◇第24節◇27日◇アウスタ

 清水は勝てば首位浮上の横浜の足を引っ張った。相手の堅い守備を崩すことができずスコアレスドロー。それでもDFボスナー(31)DF辻尾真二(25)が負傷交代するほどの激しい攻防の末、勝ち点1を手にした。上位と繰り広げた熱戦は大型補強とともに、まだまだ上位進出をあきらめない決意表明だ。

 夏休み最後のアウスタは気迫、緊迫感ともにぎっしり詰まった好ゲームだった。前節までで3位につける上位横浜に対し、堂々と立ち向かった。前半から攻撃陣が7本のシュートを放ち、守備でもボランチのMFヨンアピンを含む守備陣がバランスを保った。アフシン・ゴトビ監督(47)も「我々のゲームだ。後半は、もっと良くなる。自信を持っていけ!」と前半の戦いに納得の表情を見せた。

 ピッチで躍動するイレブンとともに「超大物・助っ人」も着々と合流の準備を進めていた。この日、クラブとの契約書にサインした元スウェーデン代表MFフレドリック・ユングベリ(34)がアウスタで観戦。ロイヤルボックス最後列から真剣な表情で“仲間”たちのプレーに見入った。試合前、「テクニックが素晴らしいリーグということは分かっている」と話していたユングベリも、チームメートのプレーの特徴を目に焼き付けた。

 後半2分、ペナルティーエリア付近の絶好の位置でFKの好機を得る。DFボスナーの強烈弾丸ライナーを相手GKがファンブル。すると、DF岩下が猛烈な勢いで突っ込んだ。同40分には相手の好機にゴール前でDF辻尾が体を投げ出し必至のブロックで失点を許さない。

 ここ2戦はリードしながらも終盤で失点し2戦連続引き分けに終わった。だが、この日は違う。勝てば暫定首位に浮上する横浜に対し90分以上、最後まで集中力を保ち続けた。アジア制覇を目標に掲げスタートした「ゴトビ・エスパルス」。残り10試合への可能性を感じさせる引き分けだった。【為田聡史】