メモリアルデーに昇格メモリアル弾を決める!

 腰痛で別メニュー調整だったJ2札幌FW内村圭宏(27)が、11月30日の練習から完全合流した。J1昇格が懸かる3日の東京戦(札幌ドーム)は、先発として強行出場が濃厚だ。「12・3」は大分時代の05年最終節で、プロ初ゴールを決めた思い出の日。今季10得点のチーム得点王が、6年ぶり2度目の最終戦弾で昇格切符をたぐり寄せる。

 切り込み隊長が帰ってきた。雪の舞う札幌・宮の沢。シャーベット状のピッチで、内村が爆走した。「腰は大丈夫。最後ですから。気持ちは入ってます。最低でも1点取って、流れをつくりたい」。チーム最多10得点と攻撃を支えてきた13番が、大一番で2戦ぶりの1発をたたき込む。

 12月3日は、思い出の日だ。大分時代の05年、J1最終節の東京V戦でプロとして初めてフル出場。FW松橋(現熊本)のパスを受け、左足で決めた。それが念願の初ゴールだった。「あの瞬間は今でもはっきり覚えている。これまでで一番うれしいゴールだった。でも、今度は東京戦で決めて、あれ以上の最高のゴールにしたい」。初ゴール記念日を、自らの1発で、昇格記念日に変える。

 サッカー人生で今が一番充実している。得点は自己最高だった09年愛媛時代の18点には及ばない。それでも「あのときはチームとして結果が出なかった。自分だけでなく、チームとして結果が出ている今の方がいい」と言う。昨季愛媛で攻撃の軸に成長しながら同じJ2の札幌に移籍したのは、昇格への強い思いがあったから。「もう1回、J1に立ちたい」。06年オフに当時J1の大分を戦力外になってから5年。つかんだチャンスは、絶対に逃さない。

 持病の腰痛に悩まされたが、残すは90分。ボロボロになるまで戦い抜く。前日29日の練習後は腰痛治療の専門家、理学療法士ケビン・マッケンジーの名著「自分で治せる!腰痛改善マニュアル」を家に持ち帰り、万全のケアで完全合流にこぎつけた。「もう腰痛はないと思ってください。相手も能力は高いけど、全部は止められない。必ず勝機はある」と意気込んだ。

 現在J2得点ランク6位で、ベスト5入りにも、あと2点に迫った。リーグ最少20失点の東京DFを崩すイメージはできている。トリッキーなドリブルで揺さぶり、J1への扉をこじ開ける。【永野高輔】