今年のモンテは初日から体と頭をフル回転させた。J2山形が24日、天童市内の体育館で始動。いきなりボールを使うなど精力的に汗を流した。ミニゲームでは4色のビブスを着用したが、ピンク、グレーに加えて意図的に黄色、レモン(薄い黄色)という紛らわしい色を使い、瞬時の状況判断力などを確認した。奥野僚右新監督(43)は「選手の動きは予想以上、期待以上でした。パーフェクトです」と絶賛した。

 「奥野山形」は始動日からエンジン全開だ。積雪の影響でグラウンドが使えないため、体育館で練習を始めたが、奥野監督は「ここでしか得られないものもある」と前向き。ミニゲームなど初日とは思えないメニューを用意していた。選手も新監督の期待に応えるように、シャープな動きを披露。清水から期限付きで加入しているDF岡根が豪快なヘディングシュートを放つなど、既存のメンバーとの連係も上々だった。

 ミニゲームでは「黄色」「レモン」と呼び名は違えど、一見しただけでは見間違えそうな2色を用いた。瞬時に味方を見つけだし、最良の判断を養うための“仕掛け”。だが選手たちは惑わされることなく、仲間へパスをつないでいた。奥野監督は「体と頭のトレーニングです。色の確認ができていないと難しい。でも今日はとても柔軟性がありましたね」と納得の表情を浮かべていた。

 前日23日は「チームワーク講習会」と題し、専門家の指導を仰ぎながら意思疎通能力を鍛えた。この日は同系色ビブスを身に着けての試合。連日、ユニークなメニューが組まれている。曜日ごとに練習内容が決まっていた小林前監督(現J2徳島監督)とは、全く違うスタイル。山形で7季目を迎えるMF宮沢は「まだ新しい選手、監督の様子をうかがいながらやっているけど、昨日(23日)の練習とかいろいろ刺激になる部分がある」と期待に満ちあふれた顔つきだった。

 「奥野流」では、どんなものでも練習になる。最後はゲームに敗れたイレブンを中心に、モップがけを行った。奥野監督は「モップがけもそうだけど、雪かきもサッカーとは違う筋肉を使うし、とても良いこと」と新メニュー案?

 を明言。明日26日からの静岡・御殿場キャンプも、何が起こるかわからない。【湯浅知彦】

 ◆奥野僚右(おくの・りょうすけ)1968年(昭43)11月13日、京都府生まれ。山城高から早大を経て93年にJリーグ鹿島入り。センターバックとしてチームを支え、00年川崎F、01年には広島でプレーし、J通算231試合に出場した。02年に群馬県リーグ草津に監督兼選手として移籍し、2年間でJFL昇格に導いた。04年から鹿島のコーチを務め、今季から山形監督。