神戸の西野朗新監督(57)が「大久保再生」に乗り出す。20日、神戸市内のいぶきの森練習場を初めて訪問。ミーティングに参加し、選手とも対面した。本職のFWだけでなく、中盤での起用も続くエースFW大久保嘉人(29)の起用法について「得点力というスペシャルな部分にこだわらせる」と説明。点取り屋としての大久保を、よみがえらせる方針を打ち出した。

 「現場」の雰囲気は格別だった。西野監督は午前中のミーティングで全選手の前であいさつすると、スーツからジャージーに着替えた。控え組の練習試合を視察。その後もクラブハウス内にこもった。家路についたのは夕方。それだけ現場の空気に飢えていたのだろう。既に新指揮官の脳裏には、大久保の得点力増加にこだわる思いがあった。

 「彼のスタイルの中で、得点することの意識付けはさせたい。いろいろ(な位置を)できてしまうから『じゃ、やってもらう』ではない。得点力というスペシャルなパフォーマンスにこだわって、やれる選手。なるべく(ゴールに)近い位置に置きたいと思う」。

 エース再生が初仕事になる。近年、大久保は中盤とFWを兼務することが多かった。得点力だけでなくパス、ドリブル、そして守備力にも定評があるため、劣勢な状況ではどうしてもボランチの位置まで下がってしまう。神戸移籍1年目の07年に14点、08年に11点を挙げて以降は、2ケタ得点から遠ざかっている。貢献度は高い半面、得点数の低下が目立っていた。

 週明け22日から「西野神戸」が本格始動し、26日ホーム鹿島戦が初陣になる。故障明けの大久保は「今までは前に行きたいと思ってもいけない状況もあったからね。俺としても前にいれば、ペナルティーエリア内でどんどん勝負ができる」と新監督の意図を理解した。西野監督といえば攻撃的スタイルが持ち味。その象徴として、大久保がゴールにこだわる。【益子浩一】