<J2:水戸2-2山形>◇第27節◇5日◇Ksスタ

 J2山形は水戸と引き分け、アウェー8戦勝ちなしとなった。1点を追う前半45分、MF永田亮太(27)が移籍初ゴールをヘッドで決めて同点に追いつくと、後半30分には右足で2点目を挙げて勝ち越した。だが後半終了間際、3日前に強化指定選手になったばかりのMF山村佑樹(22=明大4年)にゴールを献上。勝ち点3をつかみ損ねた。京都に抜かれ、順位を7位に下げた。

 苦労人が脚光を浴びた。1点を追う山形は前半45分、CKのクリアをDF石井が拾い、石川へパス。左から上がった正確なクロスを中央で待ち受けたのが永田だった。3人に囲まれながら誰よりも高いジャンプで絶好球をとらえると、ボールはGK本間の横をすり抜けた。「おいしいところを狙っていかないと入らないので」と独特の言い回しで移籍後初ゴールを喜んだ。

 これまでの“沈黙の時間”を考えれば、まだ暴れ足りない。後半30分。再び左からのパスを、今度は冷静に右足でシュート。豪快にネットを揺らすと右手を天に突き上げ、ベンチの選手と喜びを爆発させた。プロ5年目にして初の1試合2得点で勝ち越し。「今日のスタメンで僕だけ得点がなかった。これでどこからでも取れる」と胸を張った。

 度重なるけがを乗り越え、3年ぶりとなる1発をぶち込んだ。鳥栖(当時J2)に在籍した昨年9月に右膝内側側副靱帯(じんたい)を損傷。約3カ月を棒に振った。新天地の山形でも今年5月に右足首を捻挫。08年、湘南(当時J2)の新人時代には33試合に出場した実力は鳴りをひそめた。転機は7月8日のアウェー富山戦。出場停止のMF秋葉に代わってスタメン出場した試合で積極的な攻撃参加を披露。以降5戦連続でフル出場している。

 だが後半終了間際、MF山村に同点弾を浴びてドロー。大学生に白星をさらわれた。これでアウェー8戦勝ちなし。勢いに乗れない状況が続く。【湯浅知彦】