仙台DF角田誠(29)が、首位奪還のスイッチを入れる。前節15日に広島との首位攻防戦を落とし、連敗は許されない明日22日のホーム神戸戦。神戸との前回対戦で決勝点を演出し、2試合連続でゴールに絡んでいるとあって攻撃の起点としてかかる期待は大きい。累積警告による出場停止にリーチもかかっているが、仙台の闘将はいつもと変わらぬ熱く激しいプレーで勝利を誓った。

 仙台の美しい崩しの裏には、角田がいる。広島戦の1点を追う後半25分。相手最終ラインの後ろ、右サイドにあいたスペースへ絶妙なスルーパスを通した。太田が走り込んで中央へ折り返し、赤嶺のヘディングでいったんは同点に。敗れはしたが「何もできなかったわけじゃない」(角田)という一戦にあって、確かな存在感を示した。1日の川崎F戦でも梁のCKに合わせて田村の同点弾をアシストしており、ゴールにつながる仕事を続けている。

 明日も、攻撃のスイッチを入れるパスを狙う。7月7日のアウェー神戸戦では、左サイドからペナルティーエリアへ進入する梁にキラーパスを供給。赤嶺の決勝点をお膳立てした。「(スルーパスは)タイミングが合っただけ。結果的にアシストの前のパスとかはできてるけど、もうちょっと自分が絡みながら崩したい」と謙虚に言った後で「常に(パスを)狙ってはいきますけどね」と不敵に笑うあたり、手応えは感じているようだ。

 強靱(きょうじん)なフィジカルと熱い性格で中盤を引き締める闘将だが、現在イエローカードが累積7枚。あと1枚で2試合の出場停止となってしまう状況にも「もらったらしょうがない。いつも通り厳しく激しいプレーをする」と、チームのために体を張る姿勢に迷いはない。「今年は例年に比べて上位チームの勝ち点が低い。このチャンスを逃す手はないし、ここで取っとかな、なかなか優勝はできない」。現実味を帯びてきたタイトルへの欲求が、角田を突き動かす。【亀山泰宏】