オーストラリア代表で清水FWアレックス・ブロスケ(28)の退団が26日、濃厚になった。UAEの強豪クラブ・アルアインへの移籍が決定的で、この日の練習にも姿を見せなかった。昨年入団1年目からリーグ33試合でチーム3位の7得点を記録。今季も同23試合で6得点を挙げてきたストライカーが残り8試合で9位からの巻き返しを狙う中で失った。

 三保グラウンドにアレックスの姿はなかった。既にUAE入りして、現地でメディカルチェックを受けるなど入団に向けて準備を進めているようだ。原靖強化部長(44)は「今日の時点で何も話せない」と移籍について明言はしなかったが、一切の否定もなかった。

 急浮上したアレックスの移籍は、同じオーストラリア代表のストライカー名古屋FWケネディ(30)の去就と関連していた。ケネディ獲得を目指したアルアインは、水面下で行っていた交渉を正式オファーにまで発展させるなど、順調だとみられていた。ところが、最終的に条件面が合わず、名古屋残留が決定。UAEリーグの移籍期限が9月末に迫っていることもあり、急きょアレックス獲得を本格化した。

 アレックスは昨季、シドニーFCから完全移籍で入団すると、1年目から定位置のトップ下でチームの主軸として存在感を発揮。リーグ33試合でチーム3位の7得点と活躍した。今季も開幕から23試合で6得点。攻撃面だけでなく、前線からの激しい守備も必要不可欠となっていた。アフシン・ゴトビ監督(48)も「大前や高木だけでなく、金(賢聖)とアレックスの活躍が必要になる」と、終盤戦のキーマンに挙げていた。

 チームはここ2試合で1分け1敗と、苦戦が続いている。順位は9位となり、首位広島との勝ち点差は12に広がった。同時に、降格圏内の16位G大阪との勝ち点差も10と、残り8試合が結果を大きく左右する状況だ。次節も2位の仙台戦と厳しい戦いは続く。若返りを順調に進める清水だが、終盤の大逆転を狙うには戦力ダウンは否めない。