<J1:清水1-1神戸>◇第29節◇20日◇アウスタ

 清水は神戸に痛い引き分けだ。1点を追う前半ロスタイムにMF村松大輔(22)が同点ゴールを決めたが、追加点を奪えなかった。勝てば3位浦和に勝ち点1差に迫るチャンスを逃した。

 試合終了の笛がアウスタに鳴り響くと、清水サポーターの歓声が大きなため息へと変わった。選手も両手を膝に突いてうなだれた。積み重ねる勝ち点が「3」と「1」では差が大きすぎる時期であり、順位だ。ゴトビ監督は「勝っていれば優勝のチャンスがあったが、2点の勝ち点を失ったことで他のチームの結果次第になってしまった」と、嘆いた。

 前半13分に豪快なミドルシュートで先制点を許すと、歯車は狂った。同ロスタイム、MF村松がFW大前のFKに飛び込み同点としたが「試合の入りが良くなかった。ミスも多くて勢いが出せなかった」。今季3号となる貴重な同点弾もむなしく、完全な清水ペースとはならなかった。

 後半に入っても状況は変わらなかった。同6分、大前のFKにDF平岡が頭で合わせたが、わずかに枠を外れる。主導権を握りながら1点が遠い。同34分には、FW高原とMF小林を同時投入。2倍となる12本のシュートを放ったが、2度目の歓喜を迎えることはなかった。小林は「結果を『勝ち』に変えることが仕事だったのに、何もできなかった」と、自らを責めた。

 逆転優勝は厳しくなった。それでもこの日、3位浦和も敗れたため、勝ち点差3に縮まった。ACL出場の可能性は十分に残っている。村松は「早く切り替えて、前を向いてやっていくしかない」と、チームの思いを代弁していた。【前田和哉】