<J1:浦和2-0広島>◇第32節◇17日◇埼玉

 優勝へ向けてのプレッシャーなのか。体が動かない。広島は浦和に攻守にわたってポイントを封じられ完封負けだ。攻撃パターンの1つである右サイドを封じられた。MFミキッチとDF森脇のラインの動きを、広島を熟知するDF槙野らに読まれた。森脇は「本当に悔しかった。相手に守備的な形を取られてやりにくさを感じた」と振り返る。

 FW佐藤も後半に巡ってきた得点機を生かせない。「FWなのでマークはされる。その中でもチャンスはあった」と肩を落とす。しかも、ミキッチと千葉が警告累積で次節に出場できなくなった。今季リーグ戦で2失点以上差の敗戦は2度目。得意としたアウェーでも13戦ぶりの敗戦となった。

 しかし、2位仙台が引き分けに終わったことで、勝ち点1の差で首位を守った。次節24日のC大阪戦(広島ビッグアーチ)で勝って仙台が敗れれば、ホームで決める可能性は残された。千葉は「僕が出られなくても代わりの選手がいる」と期待する。これまでも成長株の若手、シーズン途中で戦力補強した選手らで苦境を乗り切ってきた。今季の広島の強みでもある。

 「どちらもプレッシャーがある。優勝をつかみ取るのは簡単ではない」と森保一監督(44)。森脇も「楽して優勝はできない。神様が教えてくれた」と気持ちを切り替えた。24日はチケット完売で、3万人以上のサポーターで埋まる。選手と観客席が一体となって初の年間優勝をつかみ取る。【中牟田康】

 ◆次節V条件

 広島が次節24日のC大阪戦に勝ち、2位仙台が同日の新潟戦に敗れて勝ち点差が4に開けば、1試合を残して広島の優勝が決まる。それ以外のケースでは12月1日の最終節に優勝決定は持ち越しとなる。1シーズン制となった05年以降の過去7シーズンで、最終節までV決定が持ち越されたのは6度。「消化試合」をつくっての優勝は、3試合を残して優勝を決めた10年名古屋のみとなっている。