攻めの再出発だ。J2山形は26日、奥野僚右監督(44)の来季続投を発表後、初めての練習を天童市内で行った。約2時間のメニューの最後には、フィールドプレーヤー全員でシュート練習。今季、終盤に失速した要因となった得点力不足を解消するために、早くもゴールへの意識を高めている。

 勝負の2年目に臨む指揮官の意図は明確だった。ピッチ中央に作戦ボードを立て、ゴールを指さす。両サイドをいっぱいに使い、反対側からのロングボールを受けた選手たちが次々とシュートを蹴り込んだ。奥野監督は「得点を多く取るために必要なものを突き詰めていく」。今季、追い求めてきた攻撃的サッカーを来季も貫くつもりだ。

 得点できれば、失点は減る。実際、ゴールを重ねた前半戦は守備も安定し、首位で折り返した。しかし、10月以降の6試合で相手のネットを揺らしたのは1度だけ。深刻な得点力不足に陥ると同時に、DF陣も崩れた。監督は「攻撃と守備は表裏一体。失点は全体の問題」と分析。組織力の強化を前提に「個人の技術の向上に尽きていく」と最大の課題を挙げた。

 長いオフをプラスにとらえる。今季は昇格プレーオフの導入で、例年より約1カ月早くシーズンが終了。選手から戸惑いの声もあったが、監督は「純粋にサッカーに向き合える貴重な時間。うまくなれるチャンス」。MF宮阪も「シーズンを通して戦える体力をつけるためにも大事な期間」と話す。

 全体の底上げも図っている。最終節(11日)の後、すでに3戦行った練習試合では、リーグ戦の出場機会が少なかった選手が実戦経験を積んだ。MF広瀬は「監督も見ているし、アピールの場だと思っている」と、早くも定位置奪取に燃えている。来季こそJ1昇格をつかむため、山形の戦いはスタートを切った。【鹿野雄太】