財前札幌が道産子の頭脳を“補強”する。札幌が、来季スカウティング担当として現千葉の北原次郎コーチ(31)招聘(しょうへい)に動いていることが21日、分かった。08年から5年にわたってスカウティング担当を務めた沖田優コーチ(34)は、J1準優勝の仙台入りが濃厚。クラブでは同コーチの筑波大の後輩で、磐田や清水でも活躍した札幌市出身の分析職人を後任に加えて、より北海道色を打ち出していく。

 初の道産子監督、OB社長でリスタートを図る札幌が、コーチに北海道出身者を据えて最強の体制を築き上げる。沖田コーチは今季限りでの退団と仙台入りが濃厚。クラブでは後任候補として、千葉の北原コーチを最有力候補としてリストアップした。現在、同コーチはJリーグなど複数クラブからオファーを受けており、札幌は地元・北海道というアドバンテージを生かして獲得を狙う。

 戦力流出によるダメージを最低限に食い止める。08年から三浦、石崎両体制を支えてきた沖田コーチは、来季初めてACLに参戦するJ1準Vの仙台に引き抜かれた格好。大事なデータのプロを失うことになるが、同コーチが信頼し、後任に推しているのが筑波大の後輩にあたる北原コーチ。クラブ関係者も「キャリアも豊富で人間的にも素晴らしい方だと聞いている」と話した。

 実績は抜群だ。05~09年は磐田でスカウティングやテクニカル担当スタッフを務めた。当時は山本昌邦監督、ハンス・オフト監督、柳下正明監督らJリーグを代表する指導者の右腕として活躍。昨季はゴトビ体制の清水、今季は千葉に在籍。計8年間、Jクラブのデータ分析のプロフェッショナルとして経験を積んできた。

 札幌市出身で、関係者によると、将来的には地元クラブの強化に携わりたいという思いが強いという。来季は道産子の財前恵一監督(44)、名塚善寛コーチ(43)、加えて札幌元主将の野々村芳和社長(40)と北海道に縁の深い人物が新任となる。さらに、札幌U-18からは史上最多6人がトップに昇格。チームの頭脳ともいえるスカウティングにも、北海道のDNAを組み込んで、新チームの認知度を一気に上げていく。

 ◆北原次郎(きたはら・じろう)1981年(昭56)10月23日、札幌市生まれ。札幌光星高、筑波大を経て、04年に同大サッカー部コーチ就任。05~09年に磐田スカウティング担当コーチ、10年は同強化担当。11年に清水コーチ就任し、今季は大学の先輩でもある千葉木山監督の下、スカウティング担当コーチを務めた。