<J1:仙台1-1鳥栖>◇第8節◇28日◇ユアスタ

 エースに待望の今季1号が生まれた。仙台はホームで鳥栖と引き分けた。前半15分にFKで先制されて迎えた後半9分、FW赤嶺真吾(29)がシュートのはね返りを押し込んで今季初ゴール。その後は度重なる決定機を決めきれず悔しいドローとなったが、巻き返しに欠かせない男にいよいよ爆発の予感が漂ってきた。

 アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)初戦から2カ月かかった。後半9分、ウイルソンのパスを受けた武藤の強烈なシュートが右ポストをたたく。絶好のポジションで詰めていた赤嶺は「自分のところに来たので、押し込むだけだった」と振り返ったが、やはり点取り屋の嗅覚だろう。

 3月24日の練習試合で右太もも裏を肉離れ。「東京時代にはやったことのないケガ。何でなのか、原因が分からない」と戸惑いを隠せなかった。リハビリの途中で再発し、プランが大きく狂う不運にも見舞われた。20日の川崎F戦からACLも含めた復帰3試合目。「焦りはなかったけど、1つ取れればと思っていたので。まず1点目が取れた」という言葉に、安堵(あんど)の色がにじんでいた。

 後半だけでこの日チーム最多となる5本のシュートを放つなど、逆転勝利へ最後まで攻撃陣をけん引。後半17分にはフリーで抜け出しながら2点目を奪えなかったこともあり「チャンスをものにできないと、勝ちにはつながらない」と反省を忘れなかった。それでも、手倉森監督は「彼のゴールは上昇へのシグナル、ともすれば武藤のゴールになりかねないところで赤嶺にはね返ってきたあたり、スイッチが入ったのかな。5月は期待してほしい」と復活を確信している。

 中2日で江蘇舜天戦。「まずはゆっくり休んで、100%で戦えるように」。ACLの決勝トーナメント進出、リーグでの巻き返しを目指す5月。エースがその鍵を握っていることは、間違いない。【亀山泰宏】