<J1:仙台2-1鹿島>◇第20節◇10日◇ユアスタ

 今年の夏はひと味違う。仙台がホームで鹿島に逆転勝利を収めた。前半に先制を許したが、後半10分にFW柳沢敦(36)が同点ヘディング弾。36分には、MF梁勇基(31)の故障で途中出場したMFヘベルチ(24)が移籍後初ゴールを決めた。今季初の逆転勝ち&3連勝で、がぜん勢いに乗ってきた。

 真夏のユアスタのボルテージが、一気に上昇した。後半10分、蜂須賀の右クロスを、ファーサイドへ抜け出した柳沢が頭でたたきつけた。今季リーグ戦ホーム初得点は、一番決めたかった古巣から。今も「僕にとっては特別なチーム」と表現する鹿島のゴールを、仙台移籍後初めてこじ開けた。

 苦しい前半だった。試合開始早々にアクシデントが発生。前半12分、梁が左太もも裏に痛みを訴えてピッチを退いた。8日の紅白戦で痛めていた箇所。ウイルソン、菅井のレギュラー2人に加え、貴重なジョーカーの武藤もケガで欠いて臨んでいた一戦。いきなり苦境に立たされた。急きょ投入となったヘベルチが攻撃のアクセントとして奮闘、主導権を握っていたが、前半23分に一瞬の隙を突かれた。遠藤のアーリークロスが流れたところを中村に合わせられ先制点を献上。リードを許して折り返した。

 さらなる興奮が後半36分に待っていた。左サイドをえぐった佐々木のクロスをヘベルチが頭で押し込み、移籍後初ゴール。その後は必死の守備で逃げ切り、前半戦で勝てなかった甲府、川崎Fに続き、鹿島にもリベンジ。逆転勝ち、3連勝はいずれも今季初だった。

 殊勲の柳沢は「厳しい展開だったけど、応援してくれたサポーターの後押しで逆転することができた。やっぱりゴールは気持ちいいッスね。(鹿島は)僕にとっては特別なチームなので、いいゲームができてうれしい。みんな1つずつという気持ちで戦っている。ホームはもちろん、全て勝つつもりで戦う」。今季最多1万7892人の観衆の前で、力強く締めくくった。【亀山泰宏】